妊活応援ブログ

池田麻里奈

第7回

ママになるって難しい

父の病状が良くない。
その頃、人工授精の周期が始まっていて、帰省することを躊躇して先延ばしにしていました。しかしあっという間に父は危篤状態になり、死んでしまいました。
私はその朝も、不妊クリニックで順番待ちをしていて、父の最期を看取ることはできませんでした。声をかけることも、手をにぎることもできなかった。
人工授精をどうにか成功させなければ、それは父のためでもある、でも大切なものを見失っていたのかもしれません。今でもあの時すぐに飛行機で向かっていれば・・・と後悔は続いています。

父を失って、今までずっと背負って来たプレッシャーの重さを感じました。「何もかも頑張っていたことは終わった」と力が入らず床にしばらく座りこみました。心の中が空っぽな空洞状態が3ヶ月ほど続いていたと思います。
何かしていた方がマシだと思い人工授精は休みなくせっせと続けました。そして、6回目の人工授精が失敗した時、体外受精にステップアップしたのです。 自然な流れでした。

大切な人を失ったことで、大切な何かを欲する気持ちは強くなっていました。

結婚したカップルは、みんなに祝福され、妊娠、出産、新居を建てるなど更なる幸せな出来事が続きます。私たちカップルには、いつになったら幸せな話しが舞い込んでくるのかな、流産、父の死、悲しい出来事ばかり。

どこか遠い話しと思っていた体外受精にトライするも、不成立は続きます。育児をスタートしている女性たちの中にいると、とてつもなく惨めな気持ちになりました。自分だけが取り残されている、スタートできない、進めない。体外受精・顕微授精はその名の通り日本での生殖の一番高度な技術、高度生殖医療です。それを繰り返しても私は妊娠しない。これだけやっても私は女性としての役割を果たすことができない、難なく妊娠していく女性はたくさんいます。私の何がいけないの?ママになるってそんなに難しいことなの?と嘆きました。

当時、これほどまでに悩み苦しんでいたのに、私はこの心の内を誰かに打ち明けることはしませんでした。
なぜならその理由の一つ目は、愛らしい赤ちゃんを抱いて生き生きと輝いている友達に相談しようとはとても思えなかった。世界が違いすぎました。私も不妊治療をやってみて初めて苦しみを知ったひとりです。
二つ目は、「子供はまだなの?」という質問が未だにあちこちから飛んでくる中、子供ができない自分の存在は、周囲から全否定されると思っていました。

その頃、不妊クリニックの患者会に参加し、10人で不妊治療中の気持ちを語りました。女子会みたいに盛り上がり、不妊治療を始めて3年、初めて不妊を話題に笑った瞬間でした。
世界で私はたったひとり孤独、世界中から取り残されている・・・、それは間違っていました。同じ不安をみんなも抱き、同じ悲しみと戦っていました。

辛い状況、子供のいない状況は語ることでは変わらないけれど、悲しみや悩みを共有することで気持ちって変わります。
今、過去の私のように閉じこもっている人がいるなら、「1人で頑張らないで」と伝えたいな。

つづく

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