妊活応援ブログ

池田麻里奈

第12回

特別養子縁組は誰のための制度?(後編)

前編では、私が「子供のための制度」という言葉を理解するまでを書きました。
後編では、「子供の福祉」について書いてみます。

「子供のための制度」だけ切り取ると、養親は幸せになってはいけないの?と感じるかもしれませんが、私はそうは思いません。
特別養子縁組は、予期せぬ妊娠をした産みの親、赤ちゃん、養親の三者が幸せになれる制度だと思っています。
国のために社会のためにという奉仕の気持ちだけで子育てできるほど人間って立派じゃないと思います。「親になりたい」「子育てしたい」という気持ちは不妊当事者のみならず、子供のころから心のどこかにある特別ではない普通の気持ち、心理学者エリクソンの発達段階にもある成熟した大人の課題でもあります。
ただ、ドラマでもあったように実際のシンポジウムや説明会でも「普通の子供は普通の家にいるんです」「事情のある子供ですよ、子供の背景を問わないで、子供の福祉を考えていただきたい」と養親希望者は何度も試されるように問われます。

このことが納得できないままでは養子縁組の手続きを先に進めることはできません。
なぜなら・・・

「赤ちゃんさえいれば私たちは幸せになる」
「赤ちゃんがいれば夫婦仲が良くなる」
「私たちに合った赤ちゃんを」
という考え方の人も実際にいるからです。

では「子供の福祉」ってどういうことでしょうか。
児童福祉を学んでいる人にとっては簡単に答えが出せるのかもしれません。国連子供の権利条約にのっとった考えかもしれない。はっきりとした回答があるのかもわかりません。

私の考えですけれど、
例えば、妊娠中のお母さんは、お腹の赤ちゃんが成長しますように、元気に生まれてきますようにと毎日それだけをただただ願っていますよね。食べ物に注意して、慎重に歩いて、生活がガラリと変わる。これが子供の福祉を考えている状態だと思っています。
お腹の子も養子も同じように考えて欲しい、それを「子供の福祉」として養親希望者に伝えているのではないかな。決して不妊当事者が親になる幸せを感じてはいけないと言っている訳ではありません。
ただし、この子がいれば周囲から認められる、不妊の苦しみから逃れられる、親になるという自己実現が達成できる、という考えが第一に強く考えてしまう人がいるなら、それは不妊によってできた空洞を埋めようとしているだけかもしれません。 振り返った時、過去の苦しいことが吹き飛んでしまうくらい赤ちゃんとの日常が幸せなら、それは結果的に空洞が埋まったと感じるかもしれません。「空洞を埋めるために子を得てはいけないよ、子を得て空洞が埋まることがあっても」という微妙な違い、わかりますか?

私の相談室では、不妊当事者の「産めなくても育てたい気持ち」を大切に、養子縁組を考えている方のカウンセリングやお話会をしています。そこでは、日本の里親制度・養子縁組・社会的養護の子供の現状をお話することはありますが、養子縁組をお勧めすることはありません。また特定の民間あっせん団体を紹介することもありません。ですから気兼ねなく養子を考えている当事者同士、素のままの気持ちを話せる場としてみなさまに活用いただいています。
お話会の中で、他の参加者と話をすることで、共感したり、できなかったり、「自分のこだわり」がフッと浮かんだりします。ご自身の新たな気づきから「やっぱり血のつながった我が子が抱きたい、もう少し治療頑張ってみよう」「夫婦ふたりの人生もありかな」「養子縁組への不安が拭えない」と思っても良いのです。
考えた時間、それが大事。
みなさんには、”自分で選んだ道”を歩いて欲しいから。

*コウノトリの会は「養子縁組」「不妊」「流死産」の3つのテーマで定期的に開催しています。Facebookページ、メルマガで開催告知など配信しています。

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