「最近、子どもがかんしゃくを起こしたように泣くことが多くなってきた」「そろそろうちの子もイヤイヤ期に入ったかな?どうしよう!」と、対応に困っているママさんがたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
子どもが1歳半から2歳頃になると、何でも「イヤ!」と言って、だだをこねてるように見える時期があります。
これを一般的に「イヤイヤ期」と呼んでいます。
「大切な時期だと聞いたことはあるけど、何かどう大切なのかよくわからない」「とにかく毎日困っているから、対処方法を知りたい」というママも多いと思います。
ここでは、イヤイヤ期とは何なのか、いつからいつまであるものなのか、回避することはできるのか、イヤイヤ期の対処方法などを詳しくお話し致します。
是非参考にしてくださいね。
イヤイヤ期とは

イヤイヤ期は、子供が成長、発達するためのひとつの過程です。
「自我の芽生え」とも言われ、「私は、わたし」という認識が芽生えてきます。
自立の一歩として、自分の気持ちを主張する時期なのです。
まだ、自分の気持ちを充分に言葉で表現できないために、かんしゃくを起こしてしまうことがあり、わがままを言っているというふうに見られがちですが、そうではありません。
実は、子どもも自分の気持ちをどうコントロールすればよいのかがわからず、葛藤しているのです。
イヤイヤ期が始まる理由

イヤイヤ期って、いつから、なぜ始まるのでしょうか。
その理由をお話しますね。
いつから始まる
個人差がありますが、1歳半以降から始まるとされています。
終わるのは、3−4歳頃とされていますが、これも個人差があります。
3−4歳頃になると、自分の気持ちをある程度は言葉で表現できるようになってきます。
また、イヤイヤ期の体験を通して、自分で気持ちのコントロールができるようになるからです。
なぜ始まる?
生後しばらくは、ママと赤ちゃんは、いつも一緒で、母子一体の世界に過ごしていました。
その赤ちゃんが、1歳半を過ぎる頃になると、「私は、わたし」ということを認識し始めます。
これは、「自我の芽生え」とも言われ、「自立の第一歩」なのです。
実際には、「私はこうしたい」「私は、今これをやりたくない」など、自己主張をするようになります。
まだ、自分の気持ちを言葉で言い表すことが難しい時期で、自分でもどう表現したら良いのか、この気持ちをどうやってコントロールしようかと、葛藤している最中なんです。
そこで、その気持ちを親になだめてもらえると、子どもも気持ちを立て直していくことができます。
それを繰り返して、自分の欲求や気持ちの表現方法、どうやって気持ちのコントロールしていけばいいのかを学んでいると言われています。
イヤイヤ期の対処方法

イヤイヤ期の対処方法を早く知りたいと思っている方も多いでしょう。
イヤイヤ期の親の心構えや具体的な方法をご紹介しますね。
まず土台を築く
普段から、子どもに「あなたが大好き」「あなたが大切」というメッセージを言葉と態度、ゼスチャーなど様々な方法で伝えていきましょう。
親子の絆がしっかりとしていると、子どもは親を信頼し、心が安定します。
「自分は愛されている」と感じる体験を、繰り返しできることが大切です。
忙しいときには、おむつ替えや入浴、食事のときでも構いません。
スキンシップや遊びなどを取り入れて、子どもが「愛されている」ということを感じられる時間を持つようにしてみましょう。
子どもの人格を尊重する
子どもだからと言って、言いなりになったり、適当に扱ったりしてはいけません。
「どうして今、それをしなければいけないのか」をわかりやすく説明してあげましょう。
「ご飯の支度をしなといけないから、早く帰ろう」「あと2回やったら終わりよ」「明日また来ようね」など、理由や目安を示してあげると良いですね。
代案を示すと、少しは自分のしたいこともできたと思えるでしょう。
子どもといえども、その人格を否定してはいけません。
一人の人間として丁寧に接するようにしましょう。
手を添えて導く
声をかけて言葉だけのやり取りではうまくいかない場合、ちょっと手を添えてあげるとあっさりと言うことをきくこともあります。
ときには、「いやだ」となって、手を振り切られてしまうことがあるかもしれません。
でも、イヤイヤと言って親の手を振り切ろうとして「甘えている」のを、うまく包み込んであげられると、子どもは癒やされ、納得して気持ちを切り替えることができます。
泣いたらヨシヨシする
自分の思うようにいかずに、かんしゃくを起こして泣いてしまったら、「ヨシヨシ」してあげて下さい。
思い通りにいかない悔しさや悲しい気持ちを、自分でもどうしたら良いのかわからくて、困っているのです。
そんなときには、その気持ちに寄り添い、共感して「ヨシヨシ」となぐさめてみて下さい。
必要ならしっかりと抱きとめて、乱暴に動かす手や足を支えてあげます。
怒りをぶつけてきても、受け止めてあげてましょう。
どうにもならない気持ちを受けてもらい、ストレスを発散できたら、あとはすぐに笑顔になる子供も珍しくありませんよ。
泣くのは、自然治癒力
激しく、またはしくしく泣いて、悔しい気持ちや悲しい気持ちを聞いてもらいながら発散できると、間もなく笑顔になる子供も多いです。
それを繰り返すことで、少しずつ自制心が身についてきます。
わかってくれる人がいる、繰り返しイヤイヤをしても甘えさせてくれて、ヨシヨシとなぐさめてくれる人がいるという体験を通して、自分自身で感情をコントロールできるようになっていくのです。
自然治癒力を妨げないように、「泣いてはだめ」「泣きやんで」と言わないようにしたいですね。
「どうしたの」「こうしたかったの」「そうだったんだ」など、共感する言葉や子どもの気持ちを代弁する言葉を使えるといいですね。
ユーモアで対応
ママもイヤイヤ
ほとほと困ったら、ママも一度イヤイヤをしてみましょう。
子どもがイヤイヤを始めたら、ママも同じように床に寝転んで、「イヤイヤ!」と子どものイヤイヤをより真似してみても良いかもしれませんね。
本当に怒るのではなく、おおらかに想いを発散させている様子を見せるのです。
終わったら、笑顔で起き上がって、「次はこうやってやってみたら」と言うと、子どもは本来イヤイヤをしたかった理由を忘れて、あっけにとられるかもしれません。
面白がって、イヤイヤ遊びを始めるかもしれませんね。
そうすると、親子に笑顔が戻ります。
イヤイヤ虫がいる
ある発達心理学の先生の解決策です。
イヤイヤが始まったら、「あ、イヤイヤ虫がいる」と言って、ピンセットを持って家の屋上に上がるそうです。
そこで、ひとつひとつイヤイヤ虫をピンセットで取ってあげるという儀式をするのです。
「ここにもいるよ」「あ、おててについてる!」など、遊び心を持ってイヤイヤ虫を取っていきます。
そうすると、そのうちに機嫌が直って、イヤイヤがおさまります。
これを何回も何日も繰り返していると、自分から「イヤイヤ虫がきた」「イヤイヤ虫がここにいるから取って」と言いに来ることもありますよ。
屋上やピンセットは、なくてもいいのです。
例えば、窓際やベランダ近くに行って、指でつまんで取ってあげてもいいんです。
この時間がなぐさめの時間になって、子どもはイヤイヤの感情をコントロールできるようになっていくのです。
毎日の具体策

時間を決める
公園に行って、帰り際に帰りたくないと言ってイヤイヤが始まったら、「◯時までね」と時間を決めて行動するように誘います。
または、「あと1回やったら終わりよ」など目安を決めるのです。
そして、まわりの人や遊具、おもちゃなどに向けて次々に「バイバイ」と一緒に手を振ってお別れを言って、次の行動に移ります。
ひとつひとつに「バイバイ」と言っていると、だんだんと帰る気持ちになっていきます。
仏の顔も3度まで
スーパーなどで買ってほしいものがあって、イヤイヤが始まった場合は、親としても他の人の目も気になることでしょう。
「あれほしかったねー。でも、今日はだめなのよ」と言って、子どもを抱っこして立ち去りましょう。
外出先や時間がない時などは、このような対応もあります。
交渉する
なかなか言うことを聞かないと、「これをしたら、あれをしよう」と興味ある代案を示して交渉してみるのもひとつです。
案外、素直になることもありますよ。
クールダウン
いつも時間と気持ちに余裕を持っていて、優しくできれば苦労しません。
ママも人間です。
イライラすることもあるでしょう。
そんな時には、クールダウンしましょう。
子どもは、危なくないような環境に置き、自分はちょっと離れるなどです。
離れられないときには、後ろを向いたり、「100、99、98、97・・・」と大きい数字から小さい数字へ10〜20程数たりすると、少し落ち着きます。
なぜ、「10、9、8・・・3、2、1」ではないかというと、「3、2、1、0」で爆発してしまわないようにです。
そして、簡単に数えられない数字、ちょっと頭を使う数字がいいですね。
「20、19・・・」でもいいですね。
または、深呼吸をするなど。
ひと呼吸おいて、接すると少し親の気持ちもおさまっていることでしょう。
対応人数の確保
イヤイヤの相手をしてくれる人を、できるだけ多く確保します。
お父さんの他に、おじいちゃんやおばあちゃん、お姉ちゃんやお兄ちゃんでもいいんです。
そうすると、ママの悲しい気持ちや疲れが少しでも軽くなるのではないでしょうか。
時間と心の余裕を持つ
イヤイヤが始まると、時間がかかったり、心に余裕がないと親もつらくなりますね。
時間的な余裕を持つようにし、心に余裕をを持つために親にもリフレッシュが必要です。
どれも簡単に実行できることではないかもしれませんが、日々の中で取り入れてみて下さいね。
イヤイヤ期は、子どもも一生懸命なのです。
親も子どものことを思って、必死に対応していることでしょう。
ここでお話したことの中で、できることから始めてみてくださいね。
注意点

イヤイヤ期の対処方法として、やらない方がいいことや注意点などをお話しましょう。
無理やり抑え込まないように
イヤイヤを悪いこと、わがままなことと勘違いして、無理やり子どもの気持ちを抑え込もうとしないようにしましょう。
抑え込もうとしてしまうと、子どもの反発心や受け入れてもらえなかったという想いが残ってしまいます。
または、必要なときに必要な自己主張ができなくなってしまう可能性があります。
子どもが、充分に気持ちを発散できるようにしてあげられるといいですね。
自分の体験
親自身が満足なイヤイヤ期を過ごしていないと、対応に困ることがあります。
そのため、厳しくされた親は我が子にもそうしてしまったり、反対に言いなりになってしまったりと、イヤイヤ期そのものを受け入れられないこともあります。
まずは、子どもとの愛情の土台を作り、イヤイヤを見守り、必要なときは手を添えて、抱き包むことです。
親は、子どものイヤイヤにうまくつきあっていけるようになれるといいですね。
感情を抑え込み過ぎない
イヤイヤが始まったら、子どもが好きなことや楽しいことを提案して、気分転換を図る方法もあります。
それくらいで治まるなら、それくらいのイヤイヤです。
子どもの機嫌やタイミングなどによります。
でも、この方法ばかりだと、思い切り気持ちを発散させたいときには、感情を抑え込んでしまうことがあるので、ちょっと注意が必要です。
「イヤイヤを発散したいのかな」と感じられるときには、自然治癒力(泣いくこと)を信じて、親は優しく見守ってあげましょう。
必要なときは、手を添えたり、抱きしめたりしてあげればいいのです。
うまく対応できるといいですね。
立ち直りにくいときには抱っこしてあげる
イヤイヤをしていて、気持ちが混乱して自分でどうしたらよいかわからず、なかなか立ち直れないときには、しっかりと抱きとめてあげましょう。
そして、「ヨシヨシ」となだめてあげるのです。
見守ってあげるだけでもいいときもありますが、そうでないときには、手を差し伸べるのが大切です。
困ったら、助けてくれる人がいると思えると、子どもは安心します。
回避する方法はない?

イヤイヤ期を意図的に回避することはできません。
これは、子どもの発達段階のひとつで、親が意図的に予防したり、イヤイヤ期を短くしたりなどはできません。
対応によって、イヤイヤの期間が短い、泣きの激しさが少し軽くなったということはあるかもしれません。
男の子と女の子の差がある?
イヤイヤ期の男女の差の情報が色々とあるようですが、、個人差として捉えたほうが良いでしょう。
特に、1歳半から2歳頃のイヤイヤ期では、自立の第一歩として、男女差はそれほど出ないと考えましょう。
3歳頃のイヤイヤ期になると、少しは言葉が話せるようになりますが、まだ自分の気持ちを表現するには、難しいことがあります。
そのときに、男女の差が出てくるかもしれません。
例えば、親が「何度言ったら分かるの」と、言っても男の子は、「何度目でわかるのか、僕にはわからない」と思ってしまいます。
なので、男の子の場合は特に、「おもちゃをここに入れようね」「ここは危ないから登らないよ」など、具体的に話す必要があります。
女の子は、「同じことを何度言ってもできなかったから、親は怒っている」と、親が怒っている背景を推察することができるようになってきます。
脳の仕組みの違いによって、男女の差が現れてくるとされています。
たとえ男女の差が現れていると感じても、上記のイヤイヤ期の対処方法を参考に対応してみてくださいね。
ママが心配なこと

イヤイヤ期になって対応に困ると、「このまま、わがままに育ってしまったらどうしよう」「冷たくしてら嫌われないかな」など、不安に思ってしまいますよね。
ここでは、イヤイヤ期特有のママの心配なことについてお話しますね。
「わがままになってしまったらどうしよう」
イヤイヤ期は、成長発達のひとつの過程です。
子どもは、イヤイヤ期の体験を通して、自分の気持ちをどうやってコントロールしたらよいかを学んでいきます。
そして、生まれてからこれまでの間、親の愛情を受けながら大人との信頼関係を結んでいます。
人の気持ちもこれから、学びつつあるところです。
この一時期で、単にわがままになってしまうと心配しなくても大丈夫ですよ。
必要なときは、甘えさせて(ヨイヨシしたり、抱っこしたり)あげて心の安定を促すことが大切です。
「冷たく接してしまって、ママのことを嫌いになったらどうしよう」
ママも人間です。
すべてに素晴らしくいい対応ができるとは限りませんね。
良くない対応をしてしまったと思ったら、「ごめんね」とできるだけ早く子どもにあやまりましょう。
親が、きちんと自分に向き合ってくれたということは、子どもにもわかります。
あまり気にしすぎないようにしましょう。
あまり時間がたってしまうと、「あのときはごめんね」と言っても、子どもは「あのとき」がいつかわからなくなってしまいます。
また、時間がたつと何のことだったか、覚えていないことも多いです。
「泣きたくなってしまいます。でも、子どもの前ではだめですよね」
イヤイヤ期でも笑顔で子どもや家族に接したい、家事もちゃんとやりたいと思っていても、毎日の育児で疲れていて、どれもできていない気がして、泣きたくなるというママもたくさんいるのではないでしょうか。
涙がポロポロとこぼれてしまったら、泣いてもいいんですよ。
子どもに涙は見せたくないと思っていても、止められなかったら泣きましょう。
「ママは、ちょっと疲れただけだよ」と言って、あとでフォローしておいてくださいね。
泣いても、その後に笑顔があると子どもは安心します。
ママも人間です。
ママもママになって数年です。
泣き笑いはあってあたりまえと思って、それほど気にしなくても大丈夫です。
たまにはストレス解消を

イヤイヤ期でなくても育児は大変ですよね。
ストレスもたまります。
時々は、息抜きしましょう。
ストレスをため込むと、爆発しかねません。
子供に手をあげてしまうリスクもあるんです。
息抜き方法をご紹介しますので、参考にしてくださいね。
話をきいてもらう
パパ、おじいちゃん、おばあちゃん、友達、支援センターの職員さんなど、「こんな状態で大変なんです」と話を聞いてもらいましょう。
話を聞いてもらったり、人に共感してもらうだけで、かなり心が楽になります。
支援センターの遊び場にいるママたちも同じ思いをしているはず。
ちょっと勇気を出して話しかけてみてはいかがでしょうか。
お互いに、共感し合うことがたくさんあるかもしれませんよ。
一人の時間でリフレッシュ
地域にある一時預かり施設や実家に子どもを預けたり、旦那さんに子供を連れ出してもらったりして、ママが一人になる時間を持つことも効果的なんです。
30分でも1時間でもいいんです。
1日の大半を子どものペースで過ごしているママには、短くてもいいから自分のペースで好きなように過ごせる時間が必要です。
そして、その時間はとても貴重ですよね。
「子どもを預けて自分の時間なんて、育児拒否では・・・」と気になるかもしれませんが、それは育児拒否ではありません。
また、子どもを預けて自分がリフレッシュすることに、罪悪感を感じることもありません。
ママが笑顔で子どものお世話をするために、休憩時間は必要なんですよ。
少しでも気分転換できるといいですね。
好きなものを食べる
好きなものを食べると、気持ちが落ち着くことがあるかもしれません。
スイーツでも焼き肉でも何でもいいんです。
好きなものを食べてストレスを発散することは、一番やりやすいかもしれませんね。
まとめ

イヤイヤ期について、いつから始まるのか、なぜイヤイヤ期があるのか、その対処方法などを詳しくお話しました。
イヤイヤ期は、「自我の芽生え」と言われていて、子どもが成長発達していく過程で必要なものです。
親はその対応に困ってしまうこともありますが、ここでご紹介した方法を組み合わせて、子どもに接してみてください。
イヤイヤ期は、喜ばしいことだと思ってあげられるといいですね。
イヤイヤ期でなくても、毎日24時間続くのが育児です。
時々は息抜きをして、ママも元気を補給しましょう。
参考文献
1. 一般社団法人日本家族計画協会 「ダダこね育ちのすすめ」安倍秀雄著