もくじ
生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしたことはありますか?
本当にふにゃふにゃで可愛らしい反面、ちょっとした加減で壊れてしまいそうで怖いですよね。
首が座らない新生児のうちは、特に抱っこも気を使うでしょう。
どのように、抱っこすれば良いのでしょうか。
また、抱っこ紐など、どのような育児グッズがあるのでしょうか。
今回は看護師で3人の小さい子の母でもある筆者がお話しします。
赤ちゃんの体はどうなっているの?

新生児とはいえ、頭があって…手があり…足があり…体は完全に人間ですよね。
でも、大人と同じ機能があるわけではありません。
赤ちゃんの体はどのようになっているのでしょうか。
新生児の体の仕組みって?
個人差はありますが、平均的な新生児は体重3キロ、身長50センチほどです。
体はふにゃふにゃしていて、筋力も弱く首も座っておらず、寝返りもできません。
新生児には、生まれつき備わっている原始反射というものが存在します。
乳首に吸い付く吸てつ反射や、手のひらに触れたものを握りしめる掌握反射などが代表的です。
大人とはどう違うの?
新生児の体は、ほとんど全ての面で未熟です。
筋力も弱く、寝返りで自分の体を動かすことはもちろん、自分の体がまだ支え切れないので、首も座りません。
視力は0.01~0.05で、追視もできず、物や色を認識するのは難しいとされています。
聴力は子宮内にいた頃から、発達していますが、大きい音になは慣れておらず、少しの音でも驚きやすいです。
また、皮膚も新陳代謝が活発なので、汚れやすいですが、皮膚がまだ薄くデリケートなため、皮膚トラブルも起こしやすいです。
新生児の特徴、首が座っていないとは?
新生児の特徴のひとつとして「首が座っていない」ということが有名ですよね。
首がぐらぐらしている状態のことで、自分の力で首を支えることができません。
首が座るということは、自分の力で首が支えられる状態のことです。
例えば、赤ちゃんを寝かせた状態で手を持って座らせるような状態へ起こした時に、首が後ろにグラグラとならないか。
うつぶせにした場合、自力で顔を上げられるか、などで確認することができます。
首が座るのはいつ?
早いと生後1,2カ月ぐらいから、少しずつ安定しはじめ、完全に首が座るのは、平均で生後3、4カ月ぐらいです。
個人差も大きく、首が座ったかどうかの判断も難しいので、心配な場合は検診の際など、医師に相談しましょう。
赤ちゃんの抱っこの仕方
赤ちゃんを抱っこするには様々な方法があります。
横抱き、縦抱きなど代表的な抱き方を説明しますね。
それぞれメリット・デメリットなどありますが、月齢など赤ちゃんの発達によっても異なります。
横抱きの場合
赤ちゃんを寝かせたままの状態で、抱く方法です。
横抱きのメリットとデメリットは?
首が座らない赤ちゃんの場合、横抱きの方が安定するというメリットはあります。
しかし、赤ちゃんによっては、普段見ない景色が見る、母親と密着する縦抱きの方を好み、横抱きを嫌がる赤ちゃんもいます。
縦抱きの場合
赤ちゃんを縦にした状態で抱っこする方法です。
昔は縦抱きにするのは、首が座ってから…と言われていましたし、首が座らないうちはしっかり首も支えて縦抱きにする必要があるので、少し心配という方もいるかもしれません。
新生児の場合でも、正しい方法で縦抱きをすれば問題ありません。
縦抱きのメリットとデメリット
もちろん、首を支える、股関節を開きすぎた抱き方をしないようにする、など気を付ける必要はありますが、縦抱きにもメリットは多くあります。
いつもと違う景色を見られて赤ちゃんの機嫌が良いことも。
縦抱きの体勢は消化にも良くゲップも出やすくなり、母親にとっても縦抱きで授乳した方が広範囲で母乳が吸えるので横抱きより、乳腺炎になりにくいです。
その他の抱き方は?前向き抱っことは?
縦抱き、横抱きが主流ですが、他にはあるのでしょうか。
縦抱きのひとつとも考えられますが「前向き抱っこ」というものがあります。
赤ちゃんを縦にして、抱っこして親と同じ向きにして抱く方法です。
前向き抱っこに対応する抱っこ紐も販売されていますよね。
前向き抱っこのメリットとデメリットは?
前向きに抱っこし、そのまま移動した場合など、赤ちゃんにとって新鮮な景色が多く見られるので、泣き止むことが多いとされています。
しかし、お腹を密着できないので、赤ちゃんはお腹を密着させた方が安心できますし、前向き抱っこで長時間過ごすことは赤ちゃんにとっては刺激が強く興奮してしまうかもしれません。
ダメな抱っこの仕方

いくつかの抱っこの仕方を紹介しましたが、ダメな抱っこの仕方はあるのでしょうか。
この抱っこが絶対にダメ!という考えではなく、赤ちゃんも親も、体に負担がかかる抱き方と、危険な抱き方は避けましょう。
親の体に負担をかける抱き方
簡単にいうと、親の体に密着させなない抱き方です。
どのようなデメリットがあるのでしょうか。
肩こり腱鞘炎の原因にも
抱く方も肩に力がはいると肩こりの原因になりますし、手首に力が入りすぎて腱鞘炎…なんてことも。
腰痛の原因にもなる
へっぴり腰で抱っこしてしまうと腰痛の原因にもなりますので、姿勢にも気を付けましょう。
妊娠出産で腰を支える筋力も弱っていますし、抱っこした状態で座ったり立ったりは意外と負担になります。
赤ちゃんの体に負担をかける抱き方
赤ちゃんの体に負担になる抱き方は、月齢によって異なります。
具体例をあげてみます。
首に負担がかかる抱き方
特に新生児の場合は、首が座っておらず、縦抱き、横抱きどちらにしろ、しっかりと首を支えられない抱き方はやめましょう。
股関節脱臼のおそれのある抱き方
また、股関節も脱臼しやすいので、赤ちゃんの足を大きく開くような抱き方も避けます。
抱っこ紐などを使用する際は、月齢にあった足を開きすぎないものを選び、抱き上げる時は、足と足の間に手をいれ、お尻の部分で体重を支えるなどしましょう。
肩関節に負担のかける抱き方
首が座ってくると、立っている子を抱き上げるように、腋の下の部分に手を入れ、抱き上げたくなりますよね。
走り回れるような大きい子なら良いですが、小さい赤ちゃんの場合は、そのまま抱き上げると、肩関節に負担がかかり、最悪の場合、肩を痛めてしまうことも。
胸郭全体を包みこむようにして、抱き上げましょう。
月齢や発達にあっているか
上記の赤ちゃんの体に負担をかける抱き方というのは、月齢や発達にあっていない抱き方ということです。
首が座ると、安心する気持ちもわかりますが、腰が座るのはもう少し先。
赤ちゃんのお尻の部分を支えるなどして、腰に負担がかからないよう心掛けましょう。
また、成長に伴い、体重も重くなりますし、発達に伴いできる抱き方も増えます。
抱き方に正解はありませんが、親にとっても負担の少ない抱き方を選びましょう。
危ない抱き方
また、危ない抱き方もダメな抱っこの仕方ですよね。
赤ちゃんが窒息しそうな体勢、赤ちゃんの転落や、親自身も転倒しそうな抱っこも危ない抱っこです。
赤ちゃんの顔が、親の洋服などに密着しそうな抱き方は窒息につながるので避けましょう。
また、片手抱きなら安全、両手を使うと安心など決まりはありませんが、自分の抱っこ技術や赤ちゃんの状態にあわせて、転落や転倒のリスクの少ない抱っこを選びます。
無理に、片手で抱っこして、赤ちゃんが動いた時に落としてしまった…なども危ないですよね。
赤ちゃんの反応の見方
赤ちゃんにあわせた抱き方は必要ですが、この抱き方は赤ちゃんにあっている?と不安になることもあるでしょう。
その場合、赤ちゃんのどのような様子に気を付ければ良いのでしょうか。
泣いたり、笑ったりしていればわかりやすいですが、そうでない場合は難しいですよね。
いくつかポイントをお話しします。
機嫌良くしているか
ごくごく基本的なことですが、非常に大切です。
体が痛かったり、圧迫されて苦しかったりすると、機嫌が悪くなりますよね。
泣かないまでも、愚図って落ち着かないような様子を見せていないかなどが重要です。
機嫌が良ければ絶対に大丈夫というわけではないですが、赤ちゃんの様子に注意をしましょう。
体調は良いか
体調が悪い時、多くの赤ちゃんは愚図ったり、ぐったりしたりします。
赤ちゃんが愚図り、「この抱っこ好きじゃないのかな?抱き方悪いのかな?」と心配になった時は、抱き方を確認することも重要ですが、抱き方ではなく体調が原因かもしれません。
赤ちゃんの手足は温かい?
長時間の抱っこや、抱っこの仕方によっては、赤ちゃんの体を圧迫してしまい、手足などの末梢が血行不良になってしまうことがあります。
血行不良の場合、多くは手足など末梢が冷たくなります。
もちろん、手足が冷たい場合、全て抱っこが原因ではないですが、赤ちゃんの様子をよく注意してみると安心です。
抱っこ紐のあとはついていないか
特に抱っこ紐を使用している際に、体に抱っこ紐のあとがついてしまったという心配を聞きます。
その場合、抱っこ紐が体格にあっているか、ずれてしまっていないかなど、確認してみましょう。
しかし、正しく装着していても多少の跡がついてしまうことはあります。
赤ちゃんの様子を見ながら、長時間使いすぎないようにしましょう。
抱っこの途中で、抵抗されても、少し抱っこしてみよう
抱っこをしようと抱っこ紐にいれようとしたら、足を突っ張ったり、のけぞったりと、嫌がる様子を見せることもあるかもしれません。
もちろん、その抱っこの仕方が、赤ちゃんが苦手である、または、親の方も上手にできてないこともあります。
しかし、正しい抱っこの状態に落ち着くまでの動きが苦手ということもあります。
どれだけ上手な抱っこでも、きちんとした状態になるまでは、多少の不安定感はあるものです。
正しく抱っこされてしまえば、赤ちゃんも落ち着き、親も楽だったということもあるので、少し愚図ったとしても、危なくない場合は、しばらく抱っこして様子を見るのも良いかもしれません。
それがわかってくれば、赤ちゃん自身も、泣かなくなるでしょう。
繰り返しますが、危険がないことが前提です。
赤ちゃん抱っこの時の便利グッズ
赤ちゃんを抱っこする便利グッズと言えば、抱っこ紐ですよね。
様々な種類の抱っこ紐があると思いますが、どのような特徴があるのでしょうか。
それぞれ代表的なものも紹介します。
横抱き抱っこ紐
低月齢のうちは横抱きの方が安心という場合、横抱きの抱っこ紐も多くあります。
メリットは、赤ちゃんの体への負担が少ないことでしょう。
しかし、胸の前で横に抱いていると、両手がふさがるので不便なことも。
また、縦抱きに比べると装着に時間がかかることも多いです。
横抱きは使用期間も短いため、成長にあわせて縦抱き抱っこ紐としても使用できるタイプが多いです。
アップリカ 抱っこ紐 コアラ
新生児期は、専用のパッドのようなものを使用し、横抱きができます。
成長すると、パッドをはずし、縦抱きとして使用できるので便利ですね。
低月齢のうちから縦抱き抱っこ紐
最近では、新生児から縦抱きができる抱っこ紐も販売されています。
両手が空くので、上の子がいる場合など動きやすいというメリットもあります。
しかし、長時間の使用は赤ちゃんの体に負担になり、密着して窒息することのないよう、顔の向きなどにも注意が必要です。
グレコ 腰ベルト付き抱っこ紐 ルーポップゼロ
腰ベルトがついたタイプの抱っこ紐です。
専用のインサートを使用すると、新生児期から縦抱きで使用できます。
腰ベルト付き抱っこ紐
赤ちゃんの体重を肩だけでなく、腰でも支えるので、親の体の負担は軽減されることが多いです。
赤ちゃんも安定します。
最近の抱っこ紐の多くは腰ベルトタイプが主流になり、新生児期から使用できるものや、首が座る頃から使用できるものなど様々です。
しかし、赤ちゃんの足を開いて体に密着させて使用するものが多く、場合によっては赤ちゃんの股関節への負担になります。
また、抱っこ紐の構造上、小柄なママには使用しにくかった…という声があるのも事実。
エルゴベビー
腰ベルト付きの抱っこ紐の先がけですよね。
現在では形の似た日本製の製品もありますが、エルゴは海外の製品です。
腰ベルト付き抱っこ紐の王道ですよね。
特にこちらは、海外の製品であるため、小柄な方には使用しにくいかもしれません。
ウエストポーチ
親の腰部分に、赤ちゃんが腰かけられる程度のウエストポーチ型のスペースを作ります。
様々な種類があり、抱っこ紐を収納してウエストポーチのような形をつくったり、抱っこ紐としての機能はなく本物のウエストポーチのように物が収納できたり。
腰かけるだけなので、赤ちゃんの背中などを手で支える必要はありますが、抱っこして全体重を支えるよりはずっと楽です。
値段も手ごろなものが多いですが、少しかさばるのは難点かもしれません。
ベビーアムール ウエストキャリー
簡単な作りで、赤ちゃんが座れるウエストポーチといった感じです。
収納スペースもあるので、簡単なお世話グッズなども収納できて便利です。
スリング
ファッション性もあり、赤ちゃんも丸まって密着していて、安心していそう…というイメージがありますよね。
スリングの中で授乳…なんだか筆者も憧れたことがあります。
実際に、抱っこ紐は苦手でもスリング大好きな赤ちゃんは数多くいます。
しかし、他の抱っこ紐に比べると、装着が難しく、動いた拍子に転落してしまうリスクもあります。
固定された抱っこ紐よりも、赤ちゃんは動きやすいので、赤ちゃんの体勢にも注意が必要です。
また肩で支えるため、親の体に負担がかかることも。
ファムべリースリング しじらコレクション
非常におしゃれなデザインとなっています。
スリングなので慣れるまで装着が大変かもしれませんが、おしゃれも楽しめます。
他のスリング同様、肩に負担がかかりやすいので注意が必要です。
赤ちゃんが抱っこで困ったこと
赤ちゃんを抱っこしていて困った!と感じたことはありますよね。
抱っこ生活は、赤ちゃんが歩けるようになっても長く続きます。
個人差が大きく、月齢にもよりますが、どのようなことに困っているのでしょうか。
抱っこばかりでおろすと泣く
寝たと思って布団に下ろそうとすると泣く…抱っこ大好きな赤ちゃんですよね。
可愛い反面、24時間この状態が続いたら、親も体がもちません。
特に低月齢のうちはよくあることです。
多少なら泣かせっぱなしでも仕方ないと思うようにし、抱っこせずとも声をかける、体をなでるなどして他の方法で安心させてあげましょう。
抱き癖は良いというけど、本当に大丈夫?
一昔前までは、抱っこし過ぎると抱き癖がつくので抱っこしない方が良いという考えもありました。
しかし、現在では赤ちゃんを安心させ、スキンシップのためにも、抱き癖はつけてしまって構わないという考えが主流になってきました。
泣く度に抱っこできない時もありますが、抱き癖をおそれず、どんどん抱っこしましょう。
親が腰痛になってしまう
抱っこのしすぎで腰痛…産後あるあるですね。
母乳育児中ですと、思うように薬も使えないですし、たかが腰痛されど腰痛。
抱っこを休めれば良いですが、難しいですよね。
そのような場合、抱っこの仕方を工夫してみましょう。
抱っこ紐を使用している場合は、抱っこ紐の種類を変えてみたり。
抱っこは仕方ないですが、抱っこの状態で立ったり座ったりしないなど、抱っこの体勢も工夫しましょう。
腱鞘炎になってしまう
特に、首の座らない低月齢のうちは、首を支える抱っこのしすぎて手首が痛めてしまうことも多いですよね。
できるだけ手首に負担のかからないよう、体に密着させて体で赤ちゃんの頭を支えられるようにしましょう。
サポーターなどで補助する方法もあります。
また、スマホの操作なども腱鞘炎の原因。
できるだけ手首を使わないような生活を心掛けましょう。
赤ちゃんを抱っこするために鍛えるべき?
産後に赤ちゃんを抱っこしてみて、これだけ大変だとは思わなかったという方も多いです。
抱っこで痛めやすい場所は、肩、腰、手首などで、それだけ負担がかかるということです。
少しでも、抱っこに役立つように、筋力など鍛える方法はあるのでしょうか。
どこの筋肉を鍛えたら良い?
抱っこに使う筋肉なので、背中や腕の筋肉が中心となります。
しかし、ただでさえ、疲労がたまりやすい赤ちゃん時期。
抱っこのために筋肉を鍛えようとは思わず、日常生活で無理のない運動を心掛けましょう。
日常生活で運動を
赤ちゃんから目を離せないことが多い時期です。
赤ちゃんを抱っこしながらできる運動も数多くあります。
月齢にもよりますが、赤ちゃんを、たかいたかいするなども、良い運動になります。
筋肉も必要だけど、疲れない抱き方を
確かに赤ちゃんを抱くには筋肉も必要です。
しかし、赤ちゃんを抱くために、筋肉をつけようと思うよりは、疲れない、体を痛めない抱き方を心掛けましょう。
鍛えるために運動して疲れてしまっては育児も大変です。
鍛える!と意気込むより、日常的に体を動かして筋力を維持するなど、運動不足にならないよう心掛けると良いですね。
まとめ
- 新生児の体は、まだ首が座っておらず、抱っこするには首を支える必要がある。
- 赤ちゃんの抱き方には、主に縦抱きと横抱きがあり、月齢にもよるが、それぞれメリットデメリットがある。
- 抱っこ方法に正解はなく、新生児の縦抱きも可能だが、長時間にならないようにし、窒息などに気を付ける。
- 赤ちゃんの発達や月齢にあった抱き方をしないと危ない抱き方になってしまう。
- 抱き方が赤ちゃんにあっているかなど、赤ちゃんの機嫌や動きをよく観察する
- 抱っこグッズとして、発達にあわせて様々な抱っこ紐がある
- 抱っこから降ろすと泣いたり、親が体を痛めてしまったり、抱っこへの悩みが多くある
- 抱っこのために筋肉を鍛える方法もあるが、赤ちゃんのお世話をしながら無理のない範囲にし、筋力を鍛えるよりも、抱っこ方法を工夫し、痛めない方が大切である。