もくじ
赤ちゃんの時は抵抗もなく飲んでくれていた薬をある日突然、嫌がるようになることがあります。
まずい、苦いなど味の問題以外にもさまざまな理由があります。
「おいしい」「楽しい」などプラスのイメージを持ってもらえると、薬を飲んでもらうことが楽になるのですが
そうではないと大変ですね。
薬が苦手にならないために、苦手になってしまった子供のために、薬の服用方法を提案したいと思います。
子供が薬を飲んでくれない理由

味覚の発達により、いろいろな味がわかるようになることも一つの理由ですが、それ以外の要因もありますので紹介します。
まずい、苦い、匂いが苦手
最近の小児用の粉薬やシロップは、飲みやすいように味や匂いが工夫されています。
フルーツ風味、バナナ風味などさまざまですが、その味や匂い自体が好きではないため「薬はおいしくないもの」という印象になることもあるようです。
また、最初は甘く、だんだん苦みを感じることがあります。
これは薬をマスキングしていた成分が口の中で溶けることで、薬の苦み成分が直接舌に接するため、苦みを感じます。
親の意気込みが怖い
病院や薬局では「必ず飲ませてください」「最後まで飲み切ってください」と念を押されることが多いと思います。
ママ、パパの「絶対に飲ませないと!!」という意気込みは薬剤師としてとても有難いですが、子供には負担になっている可能性があります。
薬を飲ませるときはなるべく楽しい雰囲気を作りましょう。
病気でつらい
大人でも体調が悪い時は、椅子に座ることさえも面倒になることありませんか?
子供は「自分の体調が悪い理由」「どうしたら楽になるか」など理解できないことが多いので、特につらいでしょう。
そのような気持ちを察し、タイミングを見計らって薬を飲ませてあげてください。
また「吐き気で飲めない」「飲んでも吐いてしまう」というときは医師に相談して吐き気止めを処方してもらいましょう。
薬と聞いただけで嫌がる
薬の印象がとても悪くなっている状況です。
原因として、
- 薬は「まずい」「苦い」という記憶が定着しているため、薬自体を拒絶している場合
- 強制的に飲まされてきた経験からの抵抗している場合
などがあげられます。
子供に薬をうまく飲んでもらう方法

粉薬 シロップ
離乳食が始まりスプーンを使える場合や、ママの言っていることが理解できる場合などで服用方法が変わってきます。
子供に合った方法で薬を飲んでもらいましょう。
赤ちゃんの場合
粉薬
- 少量の水で練って団子状にしてから上あごに付けて水やミルク、母乳と一緒に飲ませる。
- スプーンの上で水に溶いて飲ませ、水やミルク、母乳を飲ませる。
- 水で液体状に溶かし哺乳瓶の乳首で飲ませ、その後、水やミルク、母乳を飲ませる。
私のおすすめはスプーンを使うことです。
洗い物も少なく済み、作業自体もスプーンを濡らして薬をのせるだけなのでとても簡単です。
注意点として、ミルクに直接薬を混ぜることはおすすめしません。
ミルクの味が普段と変わってしまい、ミルク嫌いになる子がまれにいます。
乳糖不耐症の子供に処方されるお薬など、ミルクに混ぜるよう指示を出される薬がありますが、ほとんどの薬は混ぜないほうが良いです。
リスクを理解した上で最終手段と考えてください。
シロップ
計量カップやスポイトを使って飲ませてください。
スポイトは口を開けた瞬間に入れるか、口にくわえて吸ってもらうようにします。
口に接触した場合はよく洗って保管してください。
幼児の場合
なるべく他のものに混ぜずにそのまま服用させるようにしてください。
薬を飲むという習慣をつけましょう。
理由、効果を説明すると理解してくれる場合があるので、次から積極的に服用してくれる可能性が高くなります。
薬と隠して飲ませようとすると、反対に不信感などで抵抗する場合があります。
2-3歳を過ぎたら説明するようにしましょう。
薬が飲めたら「すごいね!!さすが○○くんだね!!」など、なるべく大袈裟に褒めましょう。
褒められると次も頑張ろうという気持ちになってくれますので、必ず褒めるように習慣づけてください。
それでも飲んでもらえない時は?
食べ物に混ぜたり、ご褒美作戦、キャラクター作戦とあらゆる手をご紹介します。
食べ物に混ぜる
アイス
バニラアイスやチョコアイスなどの子供の好みのアイスに混ぜてください。
大量のアイス(1カップ全部など)に混ぜると、すべて食べないといけなくなってしまうので食べきれる量で混ぜるようにしてください。
ゼリー
市販の服薬補助ゼリーに混ぜて服用する場合は、色々な味がありますので、いくつか試して子供の好みの味を見つけてください。
飲ませるときは
- スプーンの上にゼリーで薬を包み込んで飲ませる。
- コップにゼリーと薬、少量の水を入れ、ストローで飲ませる。
子供が抵抗せずに飲める方法を選びましょう。
ただし、薬をコーティングしている甘味成分が取れてしまう服薬補助ゼリーもあるので、好みのゼリーがある場合は医師、薬剤師に確認してください。
薬局で聞いた驚きの方法
ご飯にふりかけのようにかけて食べさせているママがいました。
子供が喜んで食べる場合は特に問題ないですが、全部食べ切れるご飯の量にする必要がありますね。
ご褒美作戦
「ジュースが飲める」「お菓子をあげる」「シールが貼れる」「おもちゃをあげる」などのご褒美作戦です。
ジュースやお菓子はカロリーの取りすぎや虫歯などのリスクがありますし、おもちゃは経済的負担がありますので、「シールが貼れる」が一番おすすめです。
キャラクター作戦
好きな人形を使って応援したり、好きな人形が頑張って飲む様子を見せて真似するように声をかけましょう。
好きなキャラクターの姿を見て、少し頑張ってみようと思ってもらえるように明るく楽しい雰囲気を作ってください。
または「薬の袋に好きなキャラクターを描く」「お薬を飲むとき用のキャラクターコップを使用する」など特別感を出しましょう。
「ママは飲みたくても、風邪ひいてないから飲めない…」と一演技、追加するとより効果的です。
おすすめのグッズ

龍角散 おくすり飲めたね
いろいろな味があるので好みの味を選びやすいです。特にチョコ味は、抗生剤など苦みに注意する薬にも使用できます。
薬を飲む頻度が少ない子供にはスティックタイプのものをおすすめします。
龍角散 らくらく服薬ゼリー
水のかわりの嚥下補助を目的としているため味の種類は一つです。
水を足してゼリーの硬さを調節できます。
レモン味のため、だ液の分泌が活発になり飲み込みやすくなります。
よくある悩み・質問
薬を飲ませるタイミングは?
食事のタイミングが一定ではない赤ちゃんは、食事に関係なく服用してください。
1日2回の指示でしたら8時間以上あけて、1日3回の薬でしたら4-8時間あけて服用させましょう。
ミルクを飲んだあとに服用させようとすると、お腹がいっぱいで飲んでくれないこともありますので、ミルクの前に服用させてもかまいません。
症状が良くなっても、薬は最後まで飲まないといけない?
薬を飲んでいることで症状が収まっている可能性もありますので、必ず最後まで飲み切りましょう。
抗生剤は途中で服用中止してしまうと、耐性菌が作られてしまい次に同じ薬を飲んでも効かないことがありますので、特に飲み切る必要がある薬です。
まとめ
どんな手を使っても飲んでくれない時は、医師に相談して飲める剤形に変えてもらいましょう。
「粉薬から液剤に」「液剤から粉薬に」「解熱剤は座薬に」と変更できる薬があります。
また、薬剤師に薬を飲ませるには、どんな方法があるのか聞きましょう。
子供が服用してくれる方法があるかもしれません。
3歳以上になったら「お薬は美味しいものではない」「体を治すためのもの」と子供に理解してもらうことがとても大切です。
納得できれば飲む努力をしてくれるはずです。
薬を飲ますことは親も子供もとても大変なことだと思います。
楽しく前向きに薬を服用することで「苦手な薬が飲めた!!」と子供の自信につながるといいですね。