もくじ
妊娠を心待ちにしている人にとって、妊娠しているのか、生理が来るのか、期待と不安が入り交じる時期ですね。
妊娠超初期は、最終月経初日から4週間の時期にあたり、妊娠する前の期間も含まれています。
妊娠しているかを早く知りたい!
そんな時期ですが、妊娠していても、まだ妊娠検査薬の反応が陽性にならないことも。
しかし妊娠超初期は、子宮内膜に着床した受精卵が細胞分裂を繰り返しながら成長を始める大切な時期です。

個人差はありますが、その時期におりものや腹痛、少量の出血などの症状が現れる人がいます。
おりものとは何か、さらに妊娠の経過における妊娠超初期について詳しく解説します。
妊娠超初期とは
妊娠週数の考え方は、最終月経の初日を妊娠0週1日とします。
医学用語では、妊娠0週から15週までを「妊娠初期」と呼びます。
妊娠超初期は、妊娠0週から4週までの時期を指す言葉として定着しています。
しかし妊娠超初期は、妊娠初期の中でもごく初期を指すもので、専門的な医学用語ではありません。
妊娠超初期の経過について
妊娠超初期は、月経、排卵、着床、妊娠成立が起こる大切な時期です。
妊娠超初期の前半は、妊娠が成立する前の状態も含みます。
では、月経から妊娠成立までの経過をみてみましょう。
最終月経から約2週間後に排卵が起こります。
卵巣から飛び出した卵子は、卵管という子宮へとつながる管の中に移動して精子を待ちます。
そこで受精した受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら子宮の中へと移動します。
受精から7〜10日後に、子宮内膜に着床して妊娠が成立します。
着床後は、妊娠を維持するために胎盤からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌されます。
このホルモンは、エストロゲンとプロゲステロンの分泌を促します。
2つのホルモンは、子宮を大きくする、乳腺を発達させるなどの働きがあり、妊娠の維持と出産に向けての体づくりをサポートします。
妊娠検査薬と妊娠の確定診断について

妊娠検査薬は、尿に混じって排泄されるヒト絨毛性性腺刺激ホルモンを測定したものです。
このホルモンは、妊娠すると徐々に分泌量が増加し、妊娠3週目頃は0〜50ID /L、妊娠4週目頃は20〜500ID /Lとなります。
分泌のピークである妊娠8〜10週目頃には、14000〜169000ID /Lにまで上昇し、その後ゆっくりと下降していきます。
市販の妊娠検査薬の検査感度は、50ID /Lとなっています。
一般的に検査感度以上の分泌量になるのは妊娠4週目頃ですが、早い人では妊娠3週目頃に陽性反応が出ることもあります。
つまり、月経が順調な人であれば、次の月経の予定日頃には妊娠検査薬を使用することができ、妊娠の可能性があることを知る機会となります。
しかしこの時期は、妊娠検査薬で陽性になっても超音波で胎嚢を確認できない場合もあるため、妊娠の確定診断はもう少し先になります。
おりものについて
おりものとは、子宮内膜や子宮頸部、膣壁からの分泌物や陰部にある皮脂腺からの分泌物が合わさったものです。
おりものには、主に2つの働きがあります。
酸性で細菌などの侵入を防ぐこと、膣の潤いを保ち受精をサポートすることです。
細菌の侵入を防ぐ
おりものには自浄作用があり、細菌などの侵入を防ぐ役割があります。
膣内には、デーデルライン桿菌という乳酸菌が住んでおり乳酸を作り出しています。
おりものが酸っぱい臭いがするのはこのためです。
乳酸によって膣内が酸性に保たれます。
この働きによって、膣や子宮内で細菌やバクテリアが繁殖しにくくなり、膣や子宮を感染から守ることができます。
膣内の潤いを保つ
おりものの分泌量は、月経周期によって変化しますが、膣内はいつも潤いが保たれています。
月経後のおりものが少ない時期でも、膣内の潤いは保たれています。
特に排卵前後のおりものは、子宮頸管から分泌され、サラサラで伸びがよいものに変化して分泌量も増加します。
この時期におりものが増加するのは、精子が子宮内へ侵入しやすくするためです。
これによって受精の確立を上昇させることにつながります。
妊娠超初期のおりものについて
月経期から排卵期までのおりものは、通常の月経周期と同じです。
しかし、子宮内膜に受精卵が着床した後は、おりものが変化する場合があります。
これは妊娠を維持するために、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が継続するためです。
着床後のおりものの変化は、個人差が大きいため一概にこうであるということはできませんが変化の一例を下に示します。
- 水っぽいサラサラとしたおりものが増えた
- 透明だったおりものが白く濁る、クリーム色になる
- 着床出血によって茶色のおりものが出る
着床による出血について
受精卵が子宮内膜に着床した時に、少量の出血が現れる人がいます。
着床出血といい、妊娠した人の約1〜2割にみられます。
一般的に出血量は少なく、茶色のおりものが2〜3日続く程度です。
出血と同時に下腹痛が起こる場合もあります。
注意が必要なおりもの
妊娠超初期に注意すべきおりものは、血液が混じり強い下腹部痛を伴う場合です。
鮮やかな出血がある場合や、茶色のおりものが続く時は、切迫流産の可能性があるため注意が必要です。
月経周期によるおりものの変化

月経周期は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモンと)とプロゲステロン(黄体ホルモン)によってコントロールされています。
この2つのホルモンの分泌量が変化することによって、子宮内膜を厚くして妊娠しやすい環境を整え、それに伴い排卵や月経が起こります。
1周期25〜38日を目安に、月経期、卵胞期、排卵期、黄体期を繰り返しています。
おりものは、月経周期を通じて無色透明、またはクリーム色をしています。
それぞれの時期のおりものについて解説します。
月経期
妊娠が成立しなかった場合、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、月経血として排出される時期です。
月経が始まった日を月経周期の1日目として、一般的に3〜7日程度続きます。
月経期は基本的に、おりものはほぼないと考えもよいでしょう。
卵胞期
卵胞期は、月経終了後の5、6日間をさします。
卵胞期は、エストロゲンの働きにより、子宮内膜が厚くなる、卵子が成長するなど妊娠成立に向けて準備をする時期にあたります。
徐々に粘り気の強いおりものが出るようになり、排卵期に近づくとサラサラのおりものに変化して量も増えます。
排卵期
排卵期は、月経初日から数えて12〜18日の期間にあたり、卵巣内で成長した卵子が排出される大切な時期です。
その時期のおりものは、卵の白身に似ており、精子を受け入れやすいようにサラサラとしていて伸びがよいという特徴があります。
月経周期の中で、おりものの量が多い期間になります。
黄体期
黄体期は、排卵後から月経開始前日までの時期のことです。
排卵後は卵巣からプロゲステロンが分泌され、妊娠を継続しやすい環境作りをします。
この時期のおりものは、量が減り、粘り気も強くなります。
妊娠超初期の兆候と過ごし方
食欲低下やムカムカ感、胸の痛みや張りなどいつもと違う症状が現れると妊娠したかも?と期待しますよね。
妊娠検査薬で調べることができない時期ですが、おなかの赤ちゃんの健康のために、妊娠の兆候を見逃さないことは大切です。
妊娠超初期に見られる兆候とは
月経の予定日頃になると、妊娠の兆候が見られることがあります。
兆候の現れ方は個人差があり、強く感じる人もいれば、逆に全く感じないという人もいます。
さまざま兆候がありますが、主なものをみていきましょう。
- 強い眠気や体のだるさ
- 微熱が出る、体が熱っぽい
- 胃のムカムカ感、食欲低下
- 胸の張りや痛み、乳首が敏感になる
- 生理痛に似た下腹部痛、茶色のおりもの
- 便秘や下痢、お腹が張っておならが出やすくなる
過ごし方
月経周期は、ストレスや体調不良などによって乱れることがあります。
特に卵胞の成長や排卵をコントロールしている脳や卵巣のホルモンは、ストレスの影響を受けやすいと言われています。
排卵や着床がスムーズに行われるためには、ストレスを溜めないことが大切です。
また着床後は、赤ちゃんの健やかな成長のために、栄養バランスの良い食事を心がけ、体を冷やさないようにすることがたいせつです。
出血がない場合は、軽い運動であれば行っても構わないと言われています。
しかし、下腹部痛や茶色のおりものがある場合は、安静を心がけるようにしましょう。
まとめ
妊娠超初期は、妊娠しているのかどうか気になり、不安と期待が入り混じる時期です。月経予定日頃になると妊娠検査薬を使用できますが、それまではドキドキしながら待つことになります。
妊娠超初期にみられるおりものや体調の変化は、わずかのため気が付かないこともあります。妊娠しているとわかってから、「あの時のおりものは、妊娠によるものだったのか…」と気が付くことも多いのです。
しかし妊娠超初期は、受精卵が着床して胎盤ができ始める大切な時期です。
妊娠の兆候を見逃さないように、日頃から自分の体調やおりものの変化などを観察しておくと良いでしょう。