もくじ
魚は、DHAやカルシウムなどの栄養素が豊富で、カロリーは肉よりも少なく、健康に良いイメージがありますね。
魚は、栄養的な側面からも妊娠中にも積極的に食べてほしい食品です。
刺身やお寿司を食べたいと思っている妊婦さんも多いことでしょう。
でも、生魚は注意しましょう。
アレルギーや食中毒を起こす可能性がゼロではないからです。
ここでは、魚の一般的な栄養素、妊娠中に生魚を食べる危険性、妊娠中の安全な食事のポイントを詳しくお話します。
生魚はどういう食べ物か?

魚には、様々な健康に良いとされる栄養素が含まれています。
一般的な魚の栄養素をまとめましたので、一つずつ見ていきましょう。
タンパク質
タンパク質は、身体を作るもととなる栄養素で、魚や肉に含まれています。
肉よりも魚の方が、体内で利用率が良いとされています。
また、魚のタンパク質は、肉に比べて消化されやすいタンパク質が多く含まれており、妊婦さんをはじめ、赤ちゃんや高齢者も安心して食べられるものです。
カルシウム
カルシウムは、骨と歯を作るサポートをする働きがあります。
煮干しは、牛乳に負けないほどのたくさんのカルシウムが含まれています。
タウリン
タウリンは、「赤ちゃんの脳の発育を助ける」「血圧を正常に保つ」などの働きがあります。
魚には、血合の部分(茶色になっている部分)にタウリンが豊富に含まれています。
EPA(エイコサペンタエン酸
EPA(エイコサペンタエン酸)は、魚介類に含まれる栄養素です。
不飽和脂肪酸で、脳血栓や心筋梗塞などの成人病予防にも良いとされています。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、血栓を予防したり、脳細胞を活性化させる働きを持っています。
妊娠中はいつでも避けたほうがいい?
生魚は、妊娠中どの時期でもあまり食べないほうが良いとされています。
理由は、リステリアやアニサキスなどの食中毒の可能性があるからです。
妊娠中に生魚を避けたほうがいい理由

妊娠中に生魚を避けた方が良いとされる理由についてお話しましょう。
食中毒
リステリアやアニサキスなどの食中毒の可能性がありますので、妊娠中の生魚は避けた方が良いと考えられます。
アレルギー
魚のなかでも特に青魚は、アレルギーを起こす可能性が高いとされています。
もともとアレルギーがなくても、妊娠中は抵抗力が弱くなっていますので、アレルギー症状が出ることも考えられます。
妊娠中に、生で魚を食べるのは注意が必要です。
また、ママがアレルギーの原因食品を食べると、生まれた赤ちゃんがアレルギーになるのではないかと心配する人もいるようです。
ママがそれらを食べていても、生まれた赤ちゃんの食物アレルギーに結びつくという明らかな結果はありません。
また、妊娠中のアレルギーを起こす可能性のある食品を除去することは、妊婦さんに悪影響を起こす可能性が示唆されています(参考文献2)。
自分で判断して、魚を食べないということはないようにしましょう。
生の魚はおすすめしないということです。
生魚の危険性
妊娠中に生魚を食べる危険性には、リステリアとアニサキスなどの食中毒があります。
それぞれ説明しましょう。
リステリア菌
妊娠中は、免疫力が低下しているため、少量のリステリア菌でも発症する可能性があります。
原因や症状、治療などついて説明します。
【原因】
リステリア菌は、普段私達が生活している中にも広く存在する菌だといわれています。
リステリア症は、リステリア・モノサイトゲネスが原因で発症し、生魚や生肉、ナチュラルチーズなどの食物から感染することがわかっています。
【潜伏期間】
24時間未満〜3日以上、1ヶ月以上の場合もあります。
【症状】
一般的には、リステリアをたくさん摂取しなければ発症しません。
たとえ発症しても軽症で自然に治癒するとされています。
リステリア菌に感染した場合、症状には個人差があります。
発熱、悪寒、筋肉痛などの症状がありますが、他の感染症との区別がつきにくいのです。
また、リステリア症では、敗血症や髄膜炎、中枢神経症状などを引き起こすことがあります。
妊婦さんが感染すると、流産早産、新生児に悪影響を及ぼすことが指摘されています。(参考文献1)
妊婦さんが発症した場合の主な症状は、発熱、悪寒、背部痛です。
赤ちゃんは、出生後数日で死亡すると考えられています。
【検査】
患者の髄液、血液などからリステリア菌を検出することで診断します。
【治療】
ペニシリン系などの抗生物質の内服をします。
セフェム系の抗生物質は、無効とされています。(参考文献2)
アニサキス
アニサキスとは、寄生虫の一種です。
アニサキスの幼虫は、長さ2-3cm、幅は0.5-1mmほどで、白い太めの糸のように見えます。
サバ、アジ、カツオ、イカなどの魚介類に寄生します。
【潜伏期間と症状】
急性胃アニサキス症は、食べてから数時間から数十時間で発症します。
急性腸アニサキス症は、食べてから数十時間後から数日後に激しい下腹部痛や腹膜炎症状が出ます。
多いのは、急性いアニサキス症です。
【治療】
胃アニサキス症では、胃内視鏡でアニサキスを摘出します。
腸アニサキスでは、症状に応じた治療を行い、必要があれば手術します。
アニサキスに効果亭は駆虫剤は開発されていません。
【予防】
60℃以上で1分以上の加熱、または-20℃で24時間の冷凍が効果的だとされています。(参考文献2)
また、新鮮なうちに内臓を除去することも良い方法です。
アニサキスは、寄生する魚介類が死ぬと、内臓から出てきて筋肉へ移動することがわかっているからです。
なお、わさびや酢がアニサキスの予防に有効ではないかという期待がありましたが、食べるときの量や時間では効果がないことがわかっています。(参考文献2)
妊婦さんにとって安全な食事を心がける

安全な食事を心がけることは、妊娠していなくても普段から大切なことですね。
ここでは、妊娠中は特に気をつけてほしいポイントを説明します。
どの食品が安全か確認しましょう
妊娠中に食べてもいいもの、食べてない方が良いもの、食べる量などの注意が必要なものがあります。
どんなものを食べない方が良いのか、どんな注意が必要なのかをあらかじめ確認しておきましょう。
基本的に、火が十分に通ったものを食べましょう。
新鮮なものを選びましょう
新鮮な食材を選ぶようにして、よく火が通されているかどうかを確認しましょう。
妊娠中は、免疫力が弱まっていますので食中毒になりやすい状態であると考えましょう。
よく火を通しましょう
よく火が通されているかどうかを確認しましょう。
妊娠中は、免疫力が落ちていますので、火が通っているものを食べたとしても、食中毒になったり体調が悪くなりやすい状態です。
料理したら早く食べましょう
料理したら、できるだけ早く食べましょう。
料理して時間がたつと、細菌の繁殖が心配です。
「買ったらできる限り早く料理する」「料理したものはできる限り早く食べる」ことを心がけましょう。
時間がたったものは処分しましょう
料理して時間がたってしまったものは、思い切って処分しましょう。
特に梅雨の時期や夏には、温度や湿度が上がるため、冷蔵庫に入れていても食べ物が傷みやすくなるので、細菌の繁殖が心配です。
冷蔵庫を過信しないでおきましょう
リステリア菌など、冷蔵庫に保存していても繁殖する菌もありますので、注意が必要です。
「冷蔵庫で保存していたから大丈夫」と思わず、早めに料理して食べてくださいね。
調理器具の清潔を保ちましょう
料理に使用する器具や、料理する人の手指を清潔に保ちましょう。
手洗いはもちろんのこと、「肉や魚などを調理するまな板は、生野菜に使用するものとは別にする」「鍋や調理器具、ふきんなどを清潔に保つ」ことも心がけると良いですね。
熱湯消毒もおすすめです。
保冷剤と保冷バッグを利用しましょう
買った食品は、保冷剤や保冷バッグに入れて、新鮮さを保てるようにできるだけ冷やして持って帰り、できるだけ早く冷蔵庫へ入れるようにしましょう。
まとめ
魚の一般的な栄養素、妊娠中に生魚を食べる危険性、妊娠中の安全な食事のポイントを詳しくお話しました。
魚は栄養価の高い良い食品ですが、生で食べるのはリステリアやアニサキスなどの食中毒のリスクがあります。
妊娠中には、食べないほうがよいとされています。
特に暑い季節には、火が通ったものでも注意が必要です。
何かと食事に制限がある妊娠中ですが、ストレスなく元気に過ごせるといいですね。