もくじ
日本には、ズワイガニ、タラバガニなど、たくさんの蟹の種類がありますね。
それぞれにおいしいものですが、妊娠中には、蟹を食べても大丈夫かなと気になっている妊婦さんもいると思います。
妊娠中だとアレルギーや食中毒、赤ちゃんへの影響など、色々なことが心配になりますよね。
ここでは、妊娠中に蟹を食べても良いか、アレルギーの心配はあるのか、どのような食べ方だと蟹を食べられるのか、蟹を食べるときの注意点などをお話します。
蟹はどういう食べ物か?

蟹には、どのような栄養素が含まれているのかご説明しましょう。
妊娠中には、嬉しい栄養素が豊富です。
タンパク質
タンパク質は、身体を作るもとになる栄養素で、魚や肉に含まれています。
血液のもともタンパク質です。
他の栄養素と合わせて、貧血予防に役立ちます。
ビタミンB12
ビタミンB12は、ヘモグロビンの生成をサポートします。
銅
ヘモグロビンを作るのに必要な栄養素です。
また、酵素の正常な働きや骨の形成のサポートをします。
亜鉛
亜鉛を必要成分とする酵素が200種類以上あります。
発育を促進して、味覚を正常に保ちます。
メリット
蟹を食べるメリットをまとめましたので、参考にしてくださいね。
【貧血を助ける栄養素が豊富】
鉄分がたくさん含まれているわけではありませんが、ビタミンB12やタンパク質、銅など、貧血予防をサポートする栄養素が豊富です。
【カロリー低め】
他の魚介類と比較すると、カロリーは低めです。
タラバガニの足の太いところ(可食部約17g)で約14kcalです。
おいしくてカロリーが低めなのは嬉しいですね。
デメリット
嬉しいメリットがある一方で、蟹を食べるデメリットもあります。
これらを最小限に抑えるために、新鮮なものをしっかりと火を通して食べること、たくさん食べ過ぎないことが大切です。
【微量だが水銀を含む】
微量ですが、蟹にも水銀が含まれています。
キンメダイやメカジキ、クロマグロなどの一部の魚以外は、水銀は非常に微量ですので、妊婦さんが食べても健康被害を起こす可能性は低いとされています。
水銀については、下記にわかりやすく説明がありますので、参考にしてくださいね。
【食中毒の可能性】
蟹は、生で食べると食中毒を起こす可能性がありますので、注意が必要です。
妊娠中は、抵抗力が弱まっていますので、食中毒になりすいを言われています。
例えば、茹でた蟹からの腸炎ビブリオが報告されています(参考文献2)。
腸炎ビブリオは、低温に弱いとされています。
蟹は買ってきたら、すぐに調理するか、低温で保存しましょう。
【蟹みそは注意】
蟹みそとは、蟹の中腸腺という臓器の一部のことです。
中腸腺は、肝臓と膵臓が一緒になったようなものなのです。
蟹みそには、プリン体・コレステロールは蟹の身よりも多いため、たくさん食べないほうが良いでしょう。
ズワイガニのプリン体は、100g当たり136.4mgです。
400mg以内が1日の摂取の目安担になっています。
小さいズワイガニは、約350−500gです。
カニ味噌だけではく、身にも含まれていますので、蟹は1日1杯ほどにしておくといいですね。
【カドミウム】
蟹やエビなどの甲殻類の内臓には、カドミウムが蓄積されやすいことがわかっています。
カドミウムは、鉱山物や土壌などの自然界に広く分布する重金属です。
長期に割たって、カドミウムを大量に摂取すると、カドミウム中毒を引き起こす可能性があります。
発熱、悪寒、腹痛、下痢などの症状があります。
毎日たくさん食べなければ、問題はありません。
アレルギーは大丈夫?

蟹は、妊婦中でも食べられるのかな、赤ちゃんへのリスクはないのかなと心配になりますね。
蟹アレルギーを持っていなければ、蟹を食べても大丈夫です。
ただし、火が通ったものにしましょう。
妊娠中に、アレルギー発症予防のために、妊娠中や授乳中にアレルギーを起こす食品を母親が除去することは奨励されていません。
自己判断で、除去するとママと赤ちゃんに栄養障害を起こすリスクがあるとされています(参考文献1)。
ただ、複数のアレルギーを持っている人、蟹を食べて皮膚症状が出たことがある人、口の中がザラザラしたことがある人など、何らかの変化を感じたことがあれば、妊娠中にはより強く出ることがありますので、注意しましょう。
食べる時の注意

蟹を食べるときの注意点をお話します。
量
蟹を食べるときには、たくさん食べ過ぎないようにしましょう。
血液を作る働きを助けるビタミンB12や銅などが豊富反面、コレステロールやプリン体などを摂り過ぎてしまいます。
食べるとしたら1杯ほどにしておきましょう。
料理法
蟹は、火を通して食べるようにしましょう。
妊娠中は、抵抗力が弱まっているため、生で食べると食中毒やアレルギーを起こす可能性があります。
茹でると、栄養が茹で汁に流れ出てしまいます。
蒸すほうが栄養を逃さないため、おすすめです。
食べた後の確認
蟹を食べた後に腹痛や下痢をしたり、嘔吐、湿疹が出る、痒みがあるなどの症状が出た場合は、食中毒やアレルギー反応の可能性があります。
このような症状がひどい場合は、受診しましょう。
腸炎ビブリオ
茹でた蟹から腸炎ビブリオが検出されることがあります。
火が通っていても注意しましょう。
腸炎ビブリオとは、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)によって引き起こされる感染症です。
これは、海水中にいる細菌です。
【潜伏期間】
多くは、12時間前後です。
【症状】
主な症状は、腹痛、水溶性や粘液性の下痢です。
稀に血便のこともあります。
発熱や嘔吐、吐き気も見られます。
【治療】
抗菌剤を服用します。
【予防】
ビブリオ・バルニフィカス感染症が発生しやすい季節(5~11月、特に7~9月に多い)に刺身など魚介類の生食は避け、よく加熱することが最も重要です
摂取しすぎると危険なこと
一般的に蟹は消化に時間を要すと言われています。
食べ過ぎには、注意しましょう。
妊娠中はホルモンの影響で、胃腸の機能が弱くなっています。
その上に、消化に時間がかかる蟹を食べると消化不良を起こしたり、下痢になったりすることがあります。
たくさんの量を食べないようにした方がいいですね。
バランスよい食事を心がけよう

バランスの良い食事をするために、蟹に合う手軽な料理をお話しましょう。
蒸し料理
蟹を茹でると大事な栄養素が流れ出てしまいます。
茹で汁ごと食べるのであれば良いのですが、捨ててしまうともったいないです。
ですので、蟹は蒸して食べることをおすすめします。
しっかりと加熱されているかどうかを確認してから食べてくださいね。
蟹の炊き込みご飯
蟹の炊き込みご飯は、簡単に作れます。
蟹の身がたくさんある時や、缶詰でも汁ごと使ってしまえば、だしにもなりますし手軽でいいですね。
蟹を茹でて、余った茹で汁があれば、それも一緒に炊き込みご飯に使いましょう。
カニ玉
蟹と卵を組み合わせるのもいい方法です。
彩りよく刻んだ野菜をカニ玉に混ぜてもいいですね。
亜鉛とタンパク質の相性が良いとされています。
蟹サラダ
蟹の身をマヨネーズなどであえて、サラダにしても良いですね。
簡単でおいしいです。
まとめ
妊娠中に蟹を食べても良いか、アレルギーの心配、食べる量や料理方法、蟹を食べるときの注意点などをお話しました。
蟹には、貧血予防をサポートする栄養素が含まれています。
蟹は、食中毒やアレルギーを起こさないためにも新鮮なうちに食べましょう。
また、茹でるよりも蒸すほうが栄養素は逃げないのでおすすめです。
しっかりと火を通して、1回に1杯ほどで食べ過ぎないようにすると、妊娠中でも食べても大丈夫です。
おいしい蟹を妊娠中でも楽しめるといいですね。
参考文献