もくじ
お母さんがお腹の中で感じる「胎動」。
それは、お母さんしか感じることのできない赤ちゃんの存在であり、赤ちゃんとの繋がりを感覚として感じることができる、数少ない方法の一つです。
それだけでなく、胎動は、お母さんが赤ちゃんの安全確認をするのに役立ったりと、胎動があることによって、お母さんにしかできない方法で赤ちゃんを守ることもできると言われています。
ここでは、皆さんもあまり詳しく知らない胎動について、紹介していきます。
この記事をきっかけに、いつも感じている胎動から、赤ちゃんの様子がより多くわかるようになるかもしれません。
胎動とは?

胎動とはお母さんのお腹の中での、赤ちゃんの動きのことをいいます。
胎動はいつから感じる?
妊娠18週ごろから自覚され、妊娠28週頃まで増加します。
初産婦さんよりも、経産婦さんの方が自覚し始める時期が早いと言われています。
本当は妊娠9週頃から、赤ちゃんは身体を動かす機能を持ちますが、この頃はまだ赤ちゃんの大きさも小さく、超音波の検査でしかその様子は分からないことが多いです。
妊娠後期に入ると赤ちゃん自体も大きくなり、お腹の皮膚が伸びることで、胎動が目に見えてわかるようにもなります。
胎動は出産直前まで見られますが、回数はやや減弱していきます。
胎動を感じる場所は?
妊娠初期(〜妊娠15週頃)
まだこの時期は、子宮の大きさも小さいため、おへその下あたりにむずむずとした感じでわかることが多いです。
また、胎動を感じる回数も少なく、胎動を感じない人も多いです。
特に初産婦さんは、胎動を感じることで、お腹の中の赤ちゃんの存在を意識でき、妊娠をしたということを初めて自覚できるようになる人が多いでしょう。
妊娠中期(妊娠16週〜28週頃)
子宮がだんだんと大きくなり、妊娠していることが周りからも目に見えてわかりやすくなる時期です。
この時期は、おへそのあたりまでお腹の膨らみがわかり、赤ちゃんも筋肉が発達してくるため、活発に胎動を感じるようになるでしょう。
逆子の場合は、赤ちゃんの足がお母さんの下腹部あたりにくるため、お腹の下の方で胎動を感じることが多いでしょう。
逆子だと心配になる方もいるかと思いますが、32週頃までは逆子は自然に戻ることが多いため、あまり心配しすぎる必要はないです。
しかし、妊婦健診で逆子だと言われたら、逆子体操をやってみると効果的です。
逆子体操は赤ちゃんの態勢によってやり方が変わるため、かかりつけの病院で確認しましょう。
妊娠後期(妊娠29週〜)
子宮がおへそを超えて大きくなってくる頃です。
お腹全体の所々で、胎動を感じるようになります。
しかし、この頃は赤ちゃんも大きくなり、お腹の中のスペースがなくなってくるため、今までとは胎動の感じ方が変わってくることが多いです。
また、お産が近くなってくると、お母さんの骨盤の中に赤ちゃんの頭がはまってくるため、いつもより胎動が少なくなることが多いです。
胎動から何がわかる?
胎動は赤ちゃんの元気の指標
医師が行う検査で、バイオフィジカルプロファイルスコア:Biophysical profile score(BPS)というものがあります。
これは、超音波の検査で赤ちゃんの胎動の様子を観察し、その状態を判断するというものです。
この検査では、様々な種類の胎動の回数をカウントする項目があり、胎動が多いことは、赤ちゃんが元気である指標となります。
このように、医学的にも胎動は、赤ちゃんの元気度を測る根拠となることがわかっています。
性別や性格はわかる?
巷の噂では、よく動きが活発な胎動が多いと「男の子」、大人しく穏やかな胎動が多いと「女の子」だと聞くことがありますが、これには医学的根拠はありません。
また、胎動によって、その子の性格がわかるとも聞きますが、これも同じく医学的根拠はありません。
現に、お腹の中でよく活発に動いていた子が、いざ生まれてみると、よく寝てあまり泣かない、大人しい子だったということもあります。あまり胎動で決めつけすぎずにしましょう。
胎動はどういうふうに感じる?
ポコポコ
赤ちゃんが足でお母さんのお腹を蹴っていることが多いです。
グニュグニュ
赤ちゃんが身体を曲げたり、寝返りを打っていることが多いです。
グニュ〜
赤ちゃんが身体でのびをしたり、手や足をめいっぱい伸ばしていることが多いです。
グルンッ
赤ちゃんがお腹の中ででんぐり返しをしているかもしれません。
ビクッビクッ
規則的にビクッとした痙攣のようなものを感じる場合は、赤ちゃんがしゃっくりをしています。
胎動から赤ちゃんの動きを想像することで、より生まれてくる赤ちゃんへのイメージが膨ら見ますね。
この他にも超音波の検査で見られる、赤ちゃんの胎動もあります。妊婦健診の時に、注意して見てみるとわかるかもしれません。
ゴクンゴクン
赤ちゃんはお腹の中で羊水を飲み、それをおしっことして排出しています。また、羊水を飲むことで、肺が成熟していきます。
そのため、お腹の中で羊水を元気に飲み込んでいる様子が見えることがあります。
ニギニギ、ゴソゴソ
手を握ったり、開いたり、手足を動かす仕草も見ることができます。週数が進むにつれ、筋肉も発達してくるため、しっかりとした動きになっていきます。
パクパク
赤ちゃんには「探索反射」というものが生まれつき備わっており、口の周りに触れたものを追いかける仕草をします。
これは、生まれてからまだ目がよく見えない赤ちゃんが、お母さんの乳首を探し当てるための行動です。
お腹の中にいるうちでも、自分の体が口に触れたりすることで、パクパクと口を動かしていることが多いです。
チュパチュパ
これは「吸啜反射」といわれるもので、口の中に入ったものを吸啜する仕草をします。
これは、生まれてから、口の中に入ったお母さんの乳首を吸うための行動です。
お腹の中では、自分の指を吸っていることが多いです。
胎動を通して赤ちゃんと触れ合える!

赤ちゃんがお腹の中にいる間は、実際に見て、触ることができません。しかし、胎動を通して、お腹の中にいるうちからでも、赤ちゃんとコミュニケーションをとることができます。
キックゲーム
胎動を感じたら、それに応えるように胎動を感じた場所を優しく、トントンとつついてみましょう。
そうすると、赤ちゃんも反応して、胎動としてお母さんにサインを送ってくれるかもしれません。
話しかける
妊娠7〜8ヶ月頃になると、赤ちゃんはお腹の外の音を聞き取ることができ、それに反応できるようになります。この時期に、お母さんがたくさん赤ちゃんに話しかけてあげることで、赤ちゃんはその声に反応し、時に胎動としてサインを送ってくれることがあります。
音楽を聴く、リラックスする
お母さんと赤ちゃんはおへその緒で繋がっており、お母さんから赤ちゃんへはたくさんの栄養やホルモンが伝わっています。
例えば、お母さんが心地良い音楽を聴いてリラックスしていると、そのリラックスした状態が、赤ちゃんにも良いホルモンとして伝わります。
それに対する反応は赤ちゃん次第ですが、じっと静かにしていたり、盛んに動いたり、反応を見せてくれるかもしれません。
胎動に関する悩み
今まで紹介してきたように、胎動は赤ちゃんの元気のサインであったり、お母さんと赤ちゃんとがコミュニケーションをとれる素晴らしいものですが、お母さんにとっては、時に辛いものとなることがあります。
ここでは、胎動により生じるトラブルと、その対処方法について紹介します。
胎動による睡眠不足
胎動が多い時間帯は、その赤ちゃんによってそれぞれです。
中には、お母さんが寝ている夜間に胎動が多い場合もあり、さらに、お腹も大きくなってくることで寝苦しくなり、睡眠不足になってしまうお母さんが多いです。
このように夜間何度も目が覚めてしまうのは、産後の3〜4時間おきの授乳の練習になっているとも言われています。
この場合は、1日の中で胎動が少ない時間帯を見つけ、なるべく日中でも睡眠をとるようにし、意識的に休息をとるようにしましょう。
また休息する態勢も、クッションを膝の間に挟んだり、抱き抱えて横になるなどして、心地良く休めるように工夫しましょう。
胎動による胃の不快感
妊娠後期に入ると、赤ちゃんが動くことで、お母さんの胃が圧迫されることがあります。特に食後などは胎動によって気持ち悪くなったり、胃のむかつきを感じたり、不快感を感じることが多いでしょう。
その場合は、なるべく一度にたくさん食べないようにすることや、消化の良いものを食べること、胎動が多い時間にあまり食事を摂らないようにすることなどに気をつけると良いでしょう。
胎動による頻尿
妊娠後期に入ると、赤ちゃんがお腹の中で動き、お母さんの膀胱を圧迫することで、お母さんのトイレが近くなることが多いです。
逆子の場合だと、赤ちゃんの足で蹴られるため、余計に尿意が頻繁にくることがあります。もしあまりにもひどい時は、横になってゆっくり休むようにしましょう。膀胱にかかる赤ちゃんの重力が減り、楽になることが多いです。
頻尿になるからといって、水分摂取は必ず減らさないでください。
妊娠中のお母さんの体は、血液が固まりやすくなっているため、脱水になると血管に血栓ができてしまう可能性があります。
胎動が少ないと感じたら?
お産が近くなると、赤ちゃんの頭が骨盤の中に移動することで、動きが制限されて胎動が少なくなることがあります。
しかし、赤ちゃんが苦しいサインである可能性もあるため、注意が必要です。
胎動カウントのすすめ
お母さん自身が自覚する胎動をカウントすることで、お母さんにも赤ちゃんの安全確保をすることができると言われています。
ある調査では妊婦さんが10回の胎動を自覚するのに要した時間は、11〜15分とされています。
この調査で10回の胎動を自覚するのに30〜60分以上要する場合も見られ、このような時には医療機関での精査が必要と言われています。
- いつもより胎動が少ない
- 胎動を感じなくなった
などあれば、早めにかかりつけの医療機関に問い合わせるようにしましょう。
一般的に胎動カウントは、胎動が多いなと思う時に行い、一連の動きを1カウントとし、少しでも間が空けば次の胎動としてカウントするようにします。
まとめ

胎動は赤ちゃんが元気だよと言っているサインであり、お母さんやお父さんが、赤ちゃんとコミュニケーションをとることができる素晴らしいものです。
また、日々、赤ちゃんのサインに敏感になり、その変化を感じ取ってあげることで、お母さん自身が赤ちゃんの安全を確保できることにも繋がります。
赤ちゃんがお腹の中にいるのは、約10ヶ月の妊娠期間だけで、その時でしか感じることのできない、貴重な胎動です。
妊婦さん達は、是非、赤ちゃんとの繋がりをしっかり味わいながら、妊娠生活を送ってください。