「妊活」とは「妊娠のために前向きに行動すること」を意味しますが、最近では妊活ブームが起こり、多くの女性の関心を集めています。
テレビや雑誌で取り上げられることも増えたため、「妊活」という言葉を聞いたことがある方もいますよね。
しかし言葉は知っていても、実際に何をするのかわからない方が多いのではないでしょうか。
今回はそんな方のために、妊活で知っておきたい基礎知識や、具体的な妊活の方法などについてご紹介します。
妊活とは
妊活とは、その名の通り「妊娠するための活動」を意味します。
具体的には
- 自分の体を知り、妊娠への正しい知識をつけること
- 将来的に妊娠しやすくするための体づくりをすること
を指します。
妊活は女性も男性も
妊活は女性が行うイメージを持っているかもしれませんが、夫婦で協力し合って行うものなので、もちろん男性も対象です。
また、妊活は「今すぐ妊娠を望んでいる女性が行うもの」と考えている方も多いかも知れません。
今すぐ子どもが欲しいわけではないけれど将来的に妊娠を考えている女性や、そのパートナーとなる男性も妊活の対象になります。
また、妊娠しやすい体づくりなどに加え、不妊治療などの医療的な介入も妊活に含まれます。
妊娠についての知識

子どもが欲しいと望んでいても、計画通りすぐに妊娠できるとは限りません。
まずは、妊娠率や年齢に応じた体の変化など、意外と知られていない妊娠についての基礎知識から学んでいきましょう。
妊娠しやすいタイミング
排卵された卵子の寿命は24時間ですが、受精能力を持つのは排卵後6~8時間までと言われています。
精子の寿命は長くて1週間ですが、受精能力を持つのは射精後6時間以降~72時間程度なので、排卵日前後にタイミングを合わせて夫婦生活を持つことが必要です。
しかし、タイミング良く精子と卵子が出会えば80%程度は受精できるものの、その受精卵が着床する確率は50%以下まで下がります。
そして子宮壁にうまく着床したとしても、着床が継続して妊娠に至る確率は20%ほどだそうです。
このことからも、妊娠がどれほど奇跡的なことなのかわかりますね。
加齢による妊娠率の低下
年齢を重ねていくと、妊娠率が徐々に低下します。
ある不妊治療専門クリニックの医師によると、妊娠率は20代後半では20~30%程度ですが、35歳以上では約9%、40歳以になると約5%にまで低下すると言われています。
妊娠するまでの期間は20代後半であれば平均半年ですが、夫婦どちらかに不妊因子があると子どもをなかなか授かれないこともあります。
しかし、これはあくまで平均の値なので、はじめからあまり心配しすぎないようにしましょう。
なぜ妊活が必要なのか
現在は女性の社会進出が増えているため、結婚年齢が遅くなり、結果的に出産年齢も上昇しています。
内閣府の統計データを見ると、2016年では平均初産年齢が30.7歳で、30年前と比較して約4歳遅くなっています。
もちろん、40歳を過ぎても元気な赤ちゃんを産める方は沢山います。
しかし、前述した通り年齢を重ねると妊娠率が下がるため、妊活を意識的に行う方が増えているようです。
そのため最近では妊活への関心が高まり、妊娠しやすい体づくりが注目されています。
妊活を始めるタイミングは人それぞれですが、長期的・継続的に行うものなので、将来の妊娠に備えて早めに取り組むことをオススメします。
一度ブライダルチェックを受けてみるのもオススメ
ブライダルチェックとは、将来的に妊娠を望む方のための検査で、妊娠・出産に影響を与える因子がないかどうかを調べます。
もしすぐに子どもを望んでいない場合でも、将来的に子どもを授かりたいと考えている方は、一度病院で「ブライダルチェック」を受けてみると安心かもしれません。
病院によって検査項目や値段は異なりますが、気になるようであれば一度相談してみるのも良いでしょう。
何も問題がなければそれに越したことはありませんし、仮に問題があっても早めに対応ができれば、将来のスムーズな妊娠につながります。
妊娠しやすい生活習慣

妊娠しやすい体づくりのために、日常生活の中で具体的に取り組みたい5つの生活習慣についてご紹介します。
体を冷やさない
「冷えは万病のもと」と言われているように、体が冷えていると骨盤内の血流も悪くなります。
そうすると卵巣機能や黄体機能が低下して不妊症につながりやすいため、冷えを克服することが妊活の第一歩です。
夏でも温かい飲み物をとるように意識したり、忙しいときでもシャワーで済ませずに湯船に浸かるよう意識しましょう。
くるぶしソックスではなく長い靴下を履いたり、レッグウォーマーで足を意識的に温めるのも良いでしょう。
また、朝は体温が低いため、きちんと朝ご飯をとることも大切です。
朝食をとると体が温まり、体の血流も良くなって体や頭も働きやすくなるため、一日をエネルギッシュに過ごすことができます。
適度な運動をする
体を外側から温めることに加えて、運動で体を内側から温めることも妊活には有効です。
普段筋肉をあまり使っていないと体の血流が悪くなり、体も冷えていることが多いです。
普段運動をほとんどしていない方は「隠れ冷え性」になっていることもあります。
運動が苦手な方は、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動から始めてみてはいかがでしょうか。
運動をすると、体の血流が良くなるだけでなくストレス発散にもつながります。
もし運動が得意な方や、体力や時間に余裕がある方は、ジムやヨガなどに通うのも良いかもしれませんね。
バランスの良い食事をとる
バランスの良い食事から、健康的な体がつくられます。
タンパク源の多い赤みの肉や魚類や、ホルモンバランスを整える大豆製品を意識的にとるようにしましょう。
また、温かいスープや味噌汁を飲むと、体が温まるためオススメです。
しかし、バランスを考えた料理を毎食作ることはなかなか難しいですよね。
手作りにこだわらなくても大丈夫
特に仕事で忙しい方であれば、どうしても外食や総菜が多くなってしまうかもしれません。
毎食手作りにこだわる必要はないので、お弁当や総菜を買う際には油物が少なく野菜が多めのものを選ぶように意識しましょう。
また、不足しがちな鉄分やカルシウム、ビタミン類はサプリに頼るのも一つです。
食事以外からも効率よく摂取できるように意識しましょう。
葉酸を意識的にとる
葉酸は赤ちゃんの神経管の閉鎖に関わっていて、赤ちゃんの細胞分裂が盛んな時期に必要になる栄養素です。
赤ちゃんの細胞分裂は妊娠4~5週頃から始まりますが、この時期はまだ妊娠に気付かないことがほとんどです。
このため、妊活を始める段階から葉酸を意識的に摂取しましょう。
葉酸は豆苗やレバーなどにも多く含まれますが、熱に弱く、調理すると吸収されにくくなるため、葉酸は食事とサプリを併用して摂取すると良いでしょう。
ストレス発散をする
妊活中は妊娠のことばかり考えてしまい、ストレスが溜まることも多いかもしれません。
しかし、ストレスが原因でホルモンバランスが乱れ、妊娠しにくい状態につながることもあります。
趣味を見つけたり、友達や旦那さんと外食や旅行をしてみるのもオススメです。
ストレス発散も妊活にはとても大切なので、ご自身に合った方法でストレスとうまく付き合えるようにしたいですね。
男性の妊活
妊活は「女性がするもの」と考えている男性も多いかもしれませんが、夫婦一緒に取り組むことが大切です。
しかし、男性の妊活と聞いてもピンとこない方も多いかもしれないので、男性の妊活についてご説明します。
妊活のことを理解する
かつて不妊症は「女性に原因がある」というイメージがありましたが、実際には不妊の原因の半数は男性にあるのが現状です。
しかし、その事実があまり周知されていないため、妊活に非協力的な男性が多いことが問題としてあげられています。
検査を受けるまでは「まさか自分に原因があるとは思っていなかった」という男性の声も多く聞かれます。
そのため、男性側の理解が得られにくく、女性がストレスを感じてしまうことも多いです。
妊活は夫婦一緒に取り組むことが必要なので、男性も妊活のことを理解して、積極的に取り組む姿勢が大切です。
妊活についての知識をつけて、夫婦一緒に取り組めるようにしたいですね。
規則正しい生活をする
ホルモンバランスを整えるためには、規則正しい生活をすることが大切です。
不規則な生活習慣はホルモンバランスを崩し、精子の量が減ったり活動性が低下する原因にもつながります。
早寝早起きをして食事をしっかりとり、適度な運動を心がけましょう。
また、タバコやお酒は体の血流を悪くするため、適量を意識しましょう。
もしヘビースモーカーの場合、「乳幼児突然死症候群」の原因につながることもあります。
将来子どもができたときのためにも、今から少しずつ量を減らしていくことをオススメします。
精子の状態を観察する
男性の検査で代表的なものには「精液検査」があり、採取した精液から精子の動きや数を観察します。
また、今はスマートフォンのカメラに取り付けて簡単に観察ができる「精子観察キット」も販売されています。
病院の検査ではないため参考程度にはなりますが、気になるようであればご自身で精子の状態を観察してみるのも一つです。
中には、自分の精子の状態を実際に観察することが妊活に対するモチベーションにつながったという声も聞かれています。
女性の妊活
妊娠は排卵、受精、着床の過程が順調に行われて成立するため、女性の妊活には排卵日を予測することが重要です。
次からは、排卵日を予測するための4つの方法についてご説明します。
基礎体温を測る
排卵日を予測するためによく用いられる方法は、基礎体温を測ることです。
普通の体温計では基礎体温を測れないので、基礎体温計を購入しましょう。
また、基礎体温の記録用紙も販売されていますが、基礎体温を記録するスマートフォンアプリもあるため、ご自身に合ったものを選ぶと良いでしょう。
はじめは基礎体温をうまく測れないこともあるかもしれませんが、何周期か測定しているうちに傾向がつかめてきます。
おりものの状態をチェックする
おりものとは、正しくは「頸管粘液」と言われるもので、子宮内に雑菌が入らないように守る働きがあります。
排卵日付近になるとおりものが増え、糸を引くようなトロっとした状態に変化します。
おりものの状態の変化で、排卵日が近いことを予測できることも多いです。
生理周期に合わせたおりものの状態を、普段から観察するようにしましょう。
排卵日検査薬を使う
排卵日の予測には、排卵日検査薬を使うのもオススメです。
現在では、ドラッグストアや通販サイトで手軽に排卵日検査薬を購入できます。
排卵日検査薬は生理周期に合わせて使用するため、基礎体温と併用すると排卵日が予測しやすくなります。
病院で卵胞チェックをしてもらう
卵胞チェックとは、病院の超音波検査で卵胞の大きさを計測することです。
卵胞は約20mmに成長する頃に排卵すると言われているため、実際に卵胞の大きさを計測することで、いつ排卵しそうなのかを予測することができます。
色んな方法を併用すると効果的
前述した通り、排卵日を予測するためにはさまざまな方法があります。
しかし、ストレスや体調によって排卵日がずれてしまうこともあり、予測がなかなか難しいのが現状です。
1つの方法だけでなくいくつかの方法を組み合わせると予測しやすくなるため、ご自身に合った方法を試してみてください。
サプリメントや漢方は有効?

サプリメント
現在では妊活のためのサプリメントや漢方も多く出回っていますが、妊活に有効なのでしょうか。
サプリメントや漢方のメリット、デメリットについてご説明します。
妊活にサプリはいいの?
前述した通り、葉酸は妊活中に必須の栄養素です。
また、ビタミンDは妊娠率アップ効果が、ビタミンEは血流をよくする効果があると言われているため、可能であれば取り入れたい栄養素です。
しかし、これらの栄養素を食事だけから摂取しようとすると、かなり沢山の食材をとらなければいけなくなります。
野菜は調理方法にも気を付けなければならないものが多いので、効率よく摂取するためにはサプリメントを上手に活用しましょう。
しかし、サプリメントはあくまで「栄養補助食品」なので、沢山とっても効果は上がりません。
また、とりすぎると害になることもあるので、表示されている量を守りましょう。
妊活に漢方はいいの?
現在、妊活のために漢方を取り入れる方も増えてきています。
漢方では東洋医学の考えに基づき、「気血の滞り」や「気血の不足」を改善して、体の内側から体質を改善するものです。
漢方を飲むことで冷え性が改善したり、体調が上向きになり、妊娠につながった方も多くいます。
しかし、漢方が体質に合わないこともありますし、体質が変わる過程で体調が一時的に悪くなることもあります。
また漢方は薬ではないので、効果がすぐに現れるものではありません。
現在では漢方を取り入れている婦人科も多いようなので、興味のある方は受診して聞いてみても良いかもしれませんね。
妊活はどれくらいまでする?
妊活は自己流でどれぐらいの期間するものなのか、疑問に思う方もおられるかもしれません。
いつ頃を目安に受診を検討するのか、妊活にかける期間の目安についてご説明します。
妊活の目安は1年
日本産婦人科学会では「1年たって妊娠しない場合を不妊症」と定義しているので、妊活をして1年経っても授からない場合は受診を検討してみましょう。
しかし、元々生理不順や婦人科系の持病があれば、妊活を始める段階で早めに受診した方が安心かもしれません。
子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の疾患が原因で妊娠できない場合がありますし、生理がきていても無排卵月経の場合もあります。
1年はあくまで目安なので、妊活に息詰まったり不安なことがあるときは、ひとりで悩まずに一度受診して相談してみても良いでしょう。
できれば夫婦一緒に受診を
不妊の原因は女性側だけでなく男性側にもあるので、可能であれば夫婦一緒に受診すると理想的です。
また、妊活をするうえでは夫婦の考え方が大切です。
どれぐらいまで自己流で頑張るのか、仮に授からなかったらどこまで妊活をするのか、一度話し合ってみても良いかと思います。
妊活を機に、夫婦のこれからの未来について話し合ってみましょう。
まとめ
妊活は、すぐに妊娠を希望している女性がするものと考えている方が未だに多いかもしれません。
しかし、今すぐでなくても将来的に妊娠を考えているのであれば、早めに妊活に取り組むと将来のスムーズな妊娠につながります。
自分の体のことを良く知ることは妊活以外にも役に立ちますし、夫婦一緒に妊活に取り組むと、夫婦の絆も深まります。
まずは自分の体のことをよく知り、日々の生活習慣の見直しから始めてみましょう。