もくじ
どんな出産方法で生むのか、妊婦さんにとって非常に興味深いことだと思います。
「自然分娩ってよく聞くけど、結局どんな出産方法なのかよくわからない」「メリットやデメリットはあるのかな」と聞いたことはあるけどよく知らないという方も多いでしょう。
ここでは、自然分娩とは何か、どんなふうに始まるのか、メリットやデメリット、費用や入院日数など、詳しく説明していきますね。
自然分娩とは

自然分娩とは、一般的に医療介入をせずに自然の流れに沿って経過する経膣分娩のことを言います。
「まったく医療介入をしないもの」だけ、または「陣痛促進剤の使用までは自然分娩に含む」「吸引分娩も自然分娩も含む」など、考え方は様々です。
自然分娩にとして、はっきりとした定義がないのが現状です。
経膣分娩とは、産道である膣を介して出産することを言います。
無痛分娩も経膣分娩の一つですが、無痛分娩は医療介入がありますので、自然分娩にはならないというのが一般的な捉え方です。
出産はどんなふうに始まるのでしょうか
出産の始まりは、次の3つのサインで始まることが多いです。
- おしるし
- 陣痛
- 破水
おしるし
おしるしとは「産徴」とも呼ばれ、血液が混じった粘液性のおりもののことをいいます。
生理よりも多い出血が出ることはありません。
よく「おりものに血液が混じったピンク色のおりもの」と表現することが多いです。
おしるしがあると、間もなく陣痛が始まることがありますが、数日たっても陣痛は始まらないことがあります。
もし、生理よりも多い出血、血液のかたまりが出る場合は、病院に相談して指示を仰ぎましょう。
陣痛

陣痛とは、自分の意思では、コントロールできずに反復して起こる子宮筋の収縮のことをいいます。
子宮収縮が起こる陣痛発作と収縮が休止する陣痛間欠を周期的に繰り返します。
例えば、「10分間隔の陣痛」とは、数十秒もしくは数分の陣痛発作があって、陣痛発作が始まった時間から次の陣痛発作までの時間が10分ということです。
10分間ずっと陣痛発作があるということではありません。
必ず、陣痛間欠(陣痛がない状態)があります。
電話したり、身支度を整えたりする時間がありますので、ご安心下さい。
陣痛は、徐々に強くなることが多く、いきなり激痛を起こすことはありません。
また、陣痛の感じ方には個人差があります。
陣痛の起こり初めは、おなかの張りや腰痛として感じることもあり、痛みを伴うとは限りません。
いつものおなかの張りとの違いは、周期的かどうかです。
一般的に、初産婦さんは陣痛が10分間隔、経産婦さんは陣痛が15分間隔となったら、病院に連絡をして、指示を仰ぎます。
妊婦さんの状態によって、電話をする時期は変わることがありますので、あらかじめ確認しておくと良いですね。
破水
赤ちゃんが包まれている卵膜が破れて、羊水が流れ出ることをいいます。
子宮口が全部開いた状態で破水するのが「適時破水」、陣痛が始まって子宮口が開くまでの間に破水するのが「早期破水」といいます。
陣痛が起こる前の破水は、「前期破水」と呼ばれます。
勢いよく、ジャバっと出ることもありますが、破水か尿かおりものかわからないくらい少量のこともあります。
検査をすればわかりますので、破水かどうか不明なときは、病院に連絡をして相談してくださいね。
破水の場合は、速やかに病院に連絡し、きれいなナプキンを当てて指示通りにしましょう。
多くは、すぐに来院するように言われます。
破水だと診断されると、赤ちゃんに感染する可能性がありますので、抗生物質が投与されます。
たくさん出ても全部出てしまうことはありません。
落ち着いて行動しましょう。
自然分娩にはどんな方法があるのでしょうか

ラマーズ法
出産について学んで不安をなくし、呼吸や筋肉の緊張を取ることを練習します。
リラックスした状態で、出産することを目指すものです。
フランスのラマーズ博士が提唱しました。
ソフロロジー法
フランス発祥で、呼吸法を取り入れた出産方法です。
ソフロロジー法の音楽を聞きながら、イメージトレーニングやエクササイズをして出産します。
アクティブバース
妊婦さんの本能にまかせて、好きな姿勢で生むことができる出産方法です。
危険があるときには、仰向けの姿勢になることもあります。
施設によってできるものできないものがありますので、あらかじめ相談しておくことをおすすめします。
自然分娩の費用
一般的な出産費用は、40-80万円が目安です。
都道府県や施設によって違いがあります。
一般的に、病院よりも助産院は医療処置がない分、安く設定されているところが多いです。
差額ベッド代や様々なサービスによって、違いがありますので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
出産育児一時金の直接支払い制度を利用すると、実際に支払う費用が少なくてすみます。
出産育児一時金の支給対象者は、次の通りです。
- 健康保険・国民健康保険に加入していること
- 妊娠85日以上(妊娠4か月)で出産していること
支給額は、赤ちゃん一人当たり42万円です。
双子は、2人分で84万円になります。
支給額は、施設や妊娠週数によって違いますので、厚生労働省のホームページで確認して下さいね。
入院日数
現在では、初産婦さんは出産後6-7日目に退院、経産婦さんは5日目前後に退院というところが多いです。
経過が良ければもっと早くに退院できるところもありますが、病院やクリニックによります。
この間に、身体を休めつつ授乳方法、沐浴方法など、育児に関することを教えてもらいます。
自然分娩のメリットとデメリット

メリット
- 身体の回復が早い
- 帝王切開に比べて、手術ではないので身体の回復が早いです。
- 子宮がもとの状態に戻るまで、約1か月半程かかります。
- 帝王切開では、2週間ほど遅れると言われています。
- 手術の傷の回復には、個人差があります。
- 家族の立ち会い出産ができる可能性が高い
- 自然分娩では、家族の立ち会いができる場合が多いです。
- 出産の喜びや感動を家族と共に迎えることができます。
- 日本では、帝王切開の立ち会いをする施設は少ないのが現状です。
デメリット
- 生前分娩の場合、いつ赤ちゃんが生まれるか知ることができません。
- いつ生まれるのか、ドキドキしながら待つことになります。
- 自分の都合に合わせることは難しいのです。
強い痛みがある
陣痛は、痛みという字を書きますが、起こり始めは必ずしも痛いわけではありません。
でも、だんだん強くなってきます。
どんなに安産な方でも笑って出産する方はいません。
出産が軽かった方でも、最後の数時間、もしくは数十分は痛かったとおっしゃいます。
陣痛の痛みに耐える必要があります。
自然分娩のリスク
安全を保証できる出産はありません。
どんな出産でもリスクは付きものです。
出産の怖いところは、「予測できないこと」が、「急に」「お母さんと赤ちゃんに起こること」です。
自然分娩を希望していても、緊急帝王切開が必要な事態もあるのです。
でも、多くの出産は何事もなく、安全に終わります。
リスクはできるだけないようにしたいですね。
そのためにできることは、妊婦健診をきちんと受け、医師や助産師の指導を守ることなんです。
出産場所
出産できる場所は、病院やクリニックだけではありません。
助産院でも出産を取り扱っていれば、助産院や自宅で出産できます。
でも、多胎妊娠(双子や三つ子)、逆子、合併症がある妊娠の方などは、自宅や助産院では出産できません。
自宅や助産院で出産可能な妊婦さんでも、医師の妊婦健診を受ける必要があります。
様々な条件がありますので、希望される方は、医師または助産師に相談すると良いでしょう。
出産方法の決め方

危険があるのに無理をして、自然分娩を行うのはおすすめしませんが、お母さんが納得した方法で出産するのが一番です。
病院やクリニックによって、体制は様々です。
やってみたい出産方法があれば、早めに調査して相談してみましょう。
帝王切開をしたことがある方の自然分娩
一般的に、一度帝王切開や開腹手術をしたことがある方の自然分娩(経膣分娩)は、現在ではほとんど行われていません。
子宮破裂などのリスクが高まるからです。
医師によっては、万全の体勢で自然分娩(経膣分娩)を行うこともありますが、リスクが伴うため、よく相談しましょう。
まとめ
自然分娩は、大昔から営まれてきた自然に任せた分娩方法です。
現在でも、多くの妊婦さんがこの方法で出産しています。
しかしながら、無痛分娩などの分娩方法も可能な時代です。
お母さんが納得して出産方法を選べるといいと思います。
参考文献
1. 厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払い方法について