もくじ
出産を終えてようやく赤ちゃんに会えると、ホッとしますよね。
しかし、赤ちゃんが生まれた後も「後陣痛」と呼ばれる痛みがしばらく続きます。
「後陣痛」とは子宮が回復する時に起こる生理的な痛みですが、意外に痛かったと感じているママもいるようです。
今回は後陣痛がどんな痛みなのか、後陣痛の原因や起こる時期、いつまで続くのか、そして緩和方法についてご説明します。
後陣痛とは?

後陣痛とは、出産後に子宮が収縮し、子宮の機能を回復させるための生理的な痛みのことを指します。
後陣痛は子宮が順調に回復している証なので特別な治療は不要ですが、痛みの程度に応じて鎮痛剤を使用することもあります。
また、疼痛が強い場合には子宮の回復が悪かったり、子宮に炎症が起きている可能性もあるので注意が必要です。
後陣痛の原因は?
後陣痛の原因や、痛みの感じ方について解説します。
後陣痛の原因①子宮が妊娠前の大きさに戻る
臨月の子宮は妊娠前と比べて大きさが約5倍、容量は約500~1000倍になっています。
このように妊娠に伴い子宮はかなり大きくなっているので、出産後には元の大きさに戻る必要があります。
子宮は「平滑筋」と呼ばれる筋肉からできているので、風船のように自然と萎むのではなく、筋肉を収縮させながら徐々に小さくなります。
つまり、子宮を元の大きさに戻そうとする時に起こる子宮収縮が後陣痛です。
後陣痛の原因②子宮の機能が回復する
赤ちゃんが生まれた後は、胎盤が剥がれて体外に排出されます。
胎盤が剥がれた部分は傷になっているので、子宮を収縮させて子宮内の傷を治す必要があります。
また、子宮が収縮すると子宮の中に溜まった血液が排出されるとともに、子宮内の血管の断面が圧迫されて止血が進み、子宮の回復が促進されます。
このように、後陣痛は子宮の機能を回復させるための生理的な痛みです。
後陣痛はどんな痛み?
後陣痛は「生理痛に似た鈍い下腹部の痛み」と表現されることが多いです。
基本的に陣痛ほどの痛みではありませんが、個人差が大きく、中には我慢できないほど痛かったママもいるようです。
後陣痛の痛みが強い人の特徴や、痛みの緩和方法については後に詳しく説明します。
後陣痛はいつまで続く?
後陣痛のピークの時期や、痛みが続く期間について説明します。
後陣痛のピークは産後2~3日
出産時に胃の下あたりまで大きくなっていた子宮は、出産直後にはおへその下付近まで一気に小さくなります。
また、前述した通り産後は子宮を収縮させながら胎盤が剥がれた部分の傷跡を止血したり、子宮内部に溜まった血液を排出します。
出産直後は子宮を元の大きさに戻す力や子宮内部の機能を回復さる力が強いため、後陣痛の痛みを強く感じることが多いです。
このため、一般的には産後2~3日が後陣痛のピークと言われています。
後陣痛は徐々に和らぐ
産後一気に小さくなった子宮は、その後約1ヶ月かけてゆっくり元の大きさまで戻ります。
産後すぐは子宮収縮が一番強いですが、ある程度子宮が小さくなれば収縮力も弱くなるので、後陣痛は徐々に和らいでいきます。
このため、産後2~3日を過ぎると後陣痛は徐々に和らぐことが多いと言われています。
そして、子宮が元の大きさに戻る産後1か月頃までに後陣痛はなくなります。
後陣痛は個人差が大きい
一般的に後陣痛は産後数日で終わることが多いですが、痛みが続く期間やピークの時期、痛みの程度には個人差が大きいです。
産後2~3日を過ぎても強い痛みが続いたり、出産直後はあまり痛くなかったのに徐々に痛みが気になるようになったという声も聞かれます。
痛みが強い時や長引く時は子宮内に炎症が起きていたり、子宮の回復が悪い可能性もあるので、我慢せず念のため入院中に医師や助産師に相談する方が良いでしょう。
後陣痛の緩和方法

後陣痛は子宮が元に戻っているサインなので基本的には治療はしませんが、できるだけ痛みは少ない方がいいですよね。
次からは、自分でできる後陣痛の緩和方法について説明します。
リラックスする
不安を感じていると交感神経が優位になり、痛みの閾値が低くなります。
痛みの閾値が下がると痛みを強く感じるので、できるだけリラックスすることが大切です。
好きな音楽を聴いたり、アロマの香りでリラックスしてみましょう。
また、不安なことがあれば助産師や医師、家族など身近な人に相談してその都度解決するよう心がけましょう。
睡眠をとる
赤ちゃんが生まれると頻回の授乳が始まり、どうしても睡眠不足になりがちですよね。
疲れがたまると子宮の回復が悪くなり、その分後陣痛が長引く原因にもなります。
もし入院中であれば、赤ちゃんを新生児室で預かってもらって睡眠をとるのもおすすめです。
退院後は家族に協力してもらいながら、適度に休憩をとれると良いですね。
体を温める
体を温めると循環が良くなり、痛みが和らぎます。
産後は新陳代謝が上がりどうしても熱く感じやすい時期ですが、体を冷やさないように気をつけましょう。
夏場の暑い時でも腹巻や靴下を使用して、特にお腹周りや足を温めるように意識しましょう。
また、温かい飲み物を飲んで体の内側から温めるのも良いでしょう。
楽な姿勢を見つける
出産で体力が消耗されたり、普段使わない筋肉を使うため、産後に筋肉痛になったという声も聞かれます。
このように、産後は体が大きなダメージを受けているので、楽な姿勢でリラックスしましょう。
ベッドの頭元をあげたりクッションを使うなど、ご自身が楽だと感じる姿勢を見つけてみましょう。
骨盤を締める
産後は骨盤が緩んでいるため、恥骨の痛みを感じたり、骨盤がグラグラして歩きにくいと感じるママも多いです。
骨盤が緩んだ状態で無理して動くと、骨盤が歪む原因にもなります。
骨盤ベルトやガードルなどを使って骨盤の位置を安定させると内臓が元の位置に戻るので、体の血行が良くなります。
血行が良くなると後陣痛の痛みが和らぐこともあるので、骨盤のケアをすることもおすすめです。
ただし、骨盤ケアにはコツがいるので、担当の助産師さんに相談してみると良いでしょう。
ツボを押す
痛みの緩和に有効なツボを押すのも良いでしょう。
「女性のツボ」と呼ばれる三陰交が特におすすめです。
内くるぶしから指4本分の場所が三陰交なので、圧を自分で調整しながらゆっくり押してみましょう。
また、三陰交の場所を温めるのも効果的なので、長い靴下を履いて冷やさないように意識しましょう。
薬は服用してもよい?
後陣痛の痛みがひどい場合、市販の痛み止めなど鎮痛剤を飲んでよいのかについて説明します。
痛みの程度に応じて痛み止めが処方される場合も
後陣痛は子宮が回復しているサインなので、「良い痛み」ですが、中には耐えられないほど痛かったママもいるようです。
痛みが強いと産後の体の回復の妨げになりますし、赤ちゃんのお世話どころではありませんよね。
我慢できないほど辛い痛みがある場合は、医師に相談して痛み止めを処方してもらいましょう。
自己判断で薬を飲むのはやめよう
授乳中は母乳から赤ちゃんに薬の成分が移行する可能性があります。
また、体質や他の薬との飲み合わせなどもあるので、市販の痛み止めを使用する場合には自己判断で服用せず、事前に相談しましょう。
我慢できないほど痛い場合は異常が隠れていることも
我慢できないほど痛い場合や、痛みが長期間続く場合には、子宮や周りの臓器に炎症が起きている可能性もあります。
また、後陣痛以外の病気による下腹部痛のこともあるため、我慢せずに医師や助産師に相談しましょう。
後陣痛が強い人の特徴

後陣痛は個人差が大きいですが、後陣痛が強くなりやすい人の特徴について説明します。
経産婦
一度出産を経験している場合は、初めてのお産の時よりも子宮が伸びやすいと言われています。
子宮が伸びているとその分子宮が収縮する力が強くなるため、後陣痛も強くなる傾向があるようです。
多胎妊娠
双子や三つ子などの多胎妊娠の場合は、赤ちゃんが1人の場合よりも子宮がよく伸びているため、後陣痛が強くなる傾向があります。
中には陣痛よりも痛かったという声も聞かれているようです。
羊水過多
羊水の量が多い「羊水過多」の場合も子宮がよく伸びているため、後陣痛が強くなる傾向にあります。
帝王切開
予め帝王切開が決まっていた場合は、陣痛を経験しないまま出産を迎えることになります。
陣痛の痛みを経験していない分、痛みに慣れていないため、予定帝王切開の場合は痛みを感じやすいと言われているようです。
また、帝王切開の場合は後陣痛に加えて傷の痛みも伴うので、産後数日は痛みが強烈だったという声も聞かれています。
陣痛促進剤の使用
陣痛促進剤を使用している場合は、子宮を収縮させる薬剤が血中に残っている影響で、産後に後陣痛が強くなる場合もあります。
産後に子宮収縮剤を投与した場合
出産に時間を要した場合、子宮が疲れているため、子宮の収縮が悪くなり出血量が多くなるリスクがあります。
そのため、出産後に子宮の回復を促すために子宮収縮剤の点滴をすることが多いです。
この子宮収縮剤の影響で、後陣痛が強くなることもあります。
授乳中
母乳の分泌に関わる「オキシトシン」というホルモンには、子宮の収縮を促す働きがあるので、授乳時に後陣痛が強くなることが多いです。
産後すぐは後陣痛が強いため、授乳が苦痛に感じるママもいるかもしれませんが、クッションなどを使いながら楽な姿勢で授乳ができるよう工夫しましょう。
まとめ
出産した後にも痛みがあるのは辛いかもしれませんが、後陣痛は子宮が回復している証で「良い痛み」です。
また、痛みはずっと続くものではなく一時的なものなので、今だけだと前向きに乗り越えられると良いですね。
記事の中では後陣痛の痛みを緩和する方法をたくさんご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
しかし、痛みが強い場合には子宮や周りの臓器に炎症が起きていたり、何かしら異常が隠れていることもあるので、我慢せずに医師や助産師に相談しましょう。
適度に休息をとりながら、赤ちゃんとの生活を楽しみましょう。