もくじ
妊娠と生理両者の症状、メカニズムなどについてどのくらいご存知でしょうか。
今回は生理周期と妊娠に関して解説していきたいと思います。
中には自分が妊娠していることを知らずに妊娠後期まで過ごしてしまう方もおられると聞きます。
妊娠しているのであればできれば出産や育児の準備のためにも早めに知っておきたいですよね。
具体的なメカニズムまでは知らなくても症状の似ている点、違っている点などが見極められればより早期に自分の妊娠を知る上でそれらを見分ける心強い手段となります。
もちろん自分の身体に生じる変化であるため妊娠経験のある方が最も理解されているのかもしれませんがご自身の症状や感じ方と兼ね合わせながら読んでいただければ幸いです。
生理周期について

生理
一般に生理周期は約4週間(28~30日)を1サイクルとしていて4つの時期に分かれています。
生理中(1週目・低温期)
体温を上げる黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が少なくなり体温が下がって身体が冷えやすくなる時期です。
生理痛や頭痛、倦怠感などの症状がみられることもあります。
生理後(2週目、低温期)
卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が高まり気分的にも高まり元気がでる傾向があります。
そして卵胞ホルモンが十分に上昇した2週目の終わり、つまり生理開始から14日目頃に排卵が起こります。
排卵後の調整期(3周目・高温期)
今度は再び黄体ホルモンの分泌が再び高まってくる時期で子宮内膜の増殖が起こります。
生理前の不調期(4週目、高温期)
黄体ホルモンの分泌が最も高まり体温上昇やむくみなどの症状もみられイライラなども募ったりすることもあります。
生理はこれらの4つの時期を繰り返しています。
妊娠しやすい日はいつ?

卵子は排卵後に24時間ほどしか生きていません。
そのため妊娠するためにはこの間に精子と受精する必要があります。
意外に妊娠できるタイミングって短いですよね。
卵巣から排卵された卵子は卵管に入って、そこで精子と出会い受精することとなります。
逆に精子は射精後2~3日かけて子宮の中を泳ぎ卵子に到達します。
そうすると妊娠しやすいのは排卵日からおよそ1~2日前に性交渉を行うと一般的に妊娠しやすいタイミングとなります。
妊娠初期の症状

妊娠初期
妊娠の初期の症状は生理と似ていることがあります。
特に極初期は検査薬での妊娠反応が陽性になる前の状態を指しますが1カ月に1度規則的に生理がある方であれば最終月経がはじまった日が妊娠0週0日として換算します。
もちろんこの時点では正式には妊娠は成立しておらず受精卵が子宮内に着床するのは排卵してから1週間後、つまり妊娠3週頃ということになります。
この段階ではまだ妊娠を検査で見分けることは難しいのが現実です。
しかしこの時期に現れやすい生理と似通ったような症状をいくつか実体験に基づきご紹介します。
微熱がでたようなだるさが続く

体温計
妊娠が成立すると高温期が持続するので微熱がでたように感じることがあります。
妊娠とは気づかない時期にまるで風邪のような症状が出現し市販の感冒薬を飲んでしまう方もいます。
頭痛
妊娠するとこれを維持するためのプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるホルモンが急激に増加します。
このホルモンは血管を収縮させる作用があり、この作用が頭痛を引き起こします。
肌荒れニキビができる

ニキビ
やはり妊娠によるホルモンバランスの変化の影響です。普段ニキビができない人でもできることがあります。
眠気が強くなる
生理予定日前に現れる眠気はプロゲステロンの分泌増加が関係して起こる症状です。
妊娠した場合にはこのプロゲステロンの分泌増加が維持されるため眠気を催すことが多くなります。
下痢
消化管もプロゲステロンの分泌の影響を強く受けます。普段下痢症状のない方が妊娠初期に下痢に悩まされることはあります。
水分を控えめにすることで対処する方がみられますが水分補給に関してはしっかりとった方が身体には良いと言えます。
胸が張っているような感じがする
生理の場合排卵後のプロゲステロンの影響が大きく通常の生理周期でもそのようなことはあるのですが妊娠の場合はその時期を過ぎても継続します。
生理日前なのに出血
普段とは違う持続的な出血がみられることがあります。
ただし化学流産と言って妊娠反応が出たものの超音波などで確認できる前に流産してしまう現象の可能性があり、できれば産婦人科を受診した方が良いでしょう。
おりものがいつもと違う
個人によっても差があるのですがいつもよりも分泌物の多いどろっとしたおりものとなることが多いようです。
基礎体温が不自然に変化する

基礎体温
基本的には妊娠が始まると高温期が持続します。
これにも個人差はあり、いつもと違体温の動き例えば乱高下が激しくなるなどの変化をみせる方もいるようです。
匂いに敏感になる
恐らくつわりの症状の一つでしょう。
妊娠4週前後から現れることが多いですが妊娠前は何とも思っていなかったような匂いが妊娠を契機に急に苦手になります。
ふと入ったお店の香りだったり、料理の匂いなどが急に苦手になることがあります。
唾液が増える
これもつわり症状の一つで口腔内の唾液分泌が亢進します。
なんとなく多いかなくらいの方もいればどんどん唾液が出てきて飲むのも難しいくらい分泌される方もいてさまざまです。
腹痛(下腹部痛)
生理のような時の痛みに似ている時もあればちくちくとした微妙な痛みの時もあります。
胃がむかむか
つわり症状の一つと思われます。
ホルモンバランスの急激な変化によって自律神経の働きにも変化が現れるようになり嘔気や気持ち悪さといった消化器症状が出現します。
食べものの好みの変化
もちろん食べられることに越したことはないですが妊娠によって大きく自分の食事の好みが変化することがあります。
これまでは食べられたのに妊娠を契機に急に食べられなくなる、もしくは特定のものばかりを食べたくなってしまうことがあります。
自分の食べられるものをできるだけ摂取するようにしましょう。
初期に関してはまだ栄養の質に関しては心配する必要はありませんが妊娠中期以降になった場合には考える必要があります。
食欲不振
つわり症状そのものと言っても良いかもしれません。
お腹は空いているのに食べたうあいなどの症状がみられます。
タバコのにおいが苦手になる
個人差はありますがタバコの匂いが極端に苦手になる方がいます。
そのため妊娠中の妻をもつ喫煙男性にとっては禁煙を迫られることもあるでしょう。
もともと身体には良くないことなので禁煙することに越したことはありません。
妊娠かもしれないと思ったら
妊娠初期の変化
妊娠初期とは4週~15週の期間を指します。
妊娠初期は個人差はあるものの上記でご説明したようなつわりをはじめとした普段とは違う体調の変化があります。
これは母体内で胎児が過ごしやすい環境を作るべく母親の身体が全力でホルモンバランスの再調整を行っている結果でもあります。
通常の女性の生理周期から妊娠女性としてのホルモンバランスの変化が妊娠初期にかけて完了してくるのです。
妊娠初期の過ごし方
実は妊娠初期に発生する異常はそのほとんどが胎児の染色体異常によって妊娠自体が維持できないために引き起こされることが多いです。
そのため母親の行動そのものによって大きく左右されることはないと考えられています。
しかし妊娠したばかりの変化の多い時期は疲れやすい時でもあり、様々な変化に対してストレスを感じやすい時期でもあります。
そのため当たり前のことではありますが無理をしない、激しい行動や運動などは控え生活習慣も含めて穏やかな日常を過ごすように努めることが重要です。
当然、旅行に関してもできれば安定期までは控えておいた方が良いでしょう。
一度本格的に体調を崩してしまうと近隣の医院へ受診することなるわけですが困るのは妊娠時、特に初期の場合は胎児の大事な器官形成期(身体の構造そのものを形成する時期)にあたり、処方できる薬がほとんどないことです。
そのため受診したとしても経過観察もしくは自宅静養で様子をみるしかなくなるためできれば妊娠特に初期には体調を崩す原因を取り除くべきです。
また先ほどの妊娠初期の症状でも少し解説をしましたが妊娠初期には食べ物の好みが変わることがあります。
特定のものが嫌いもしくは好きになる現象です。
そんな時は無理をして嫌いなものを摂取しようとせずに食べられるものを食べる方が良いでしょう。
また一度にこれまで摂取してきた食事量を同じように摂取する必要もありません。
つわり中は少量を複数回にわけて食べることも手段の一つでしょう。
また、生活習慣としてはアルコールとタバコは控えるようにしましょう。
注意すべき点
妊娠の初期に注意しなければならないのは妊娠悪阻と切迫流産のリスクです。
妊娠悪阻
つわりは妊娠初期に生理的に起こる症状で病気ではありませんがこれが重症化すると体重減少や脱水症状などが現れてくることがあります。
脱水症状とは具体的には強い倦怠感、口の中が乾く、ひどい頭痛やめまいがするなどの症状が多いです。
特に産婦人科クリニックでは症状を聴取した上で尿検査を実施し尿中にケトン体が検出されるかどうかで判断されることが多いです。
ケトン体が検出されると身体的には飢餓状態であることを示しており、母体や胎児に悪影響を及ぼしかねないため入院での水分補充をメインにした点滴治療が必要となってくることがあります。
切迫流産
もう一つは切迫流産です。
妊娠22週未満で妊娠が終了してしまうことを流産と言いますが切迫流産はその前段階にあたり流産のリスクが通常よりも高い状態であることを指します。
主な症状は不正性器出血で出血量が多く、更にこれに腹痛を伴うほど流産に進行する可能性が高いです。
心当たりがあればただちに産婦人科へ受診した方が良いでしょう。
現在のところ確実に流産への移行を防ぐ治療方法は残念ながらありません。
しかし安静にしていることで心身ともに落着きを取り戻し流産する確率を減らすことができると言われています。
妊娠検査の時期

妊娠したかなと思った時にまずすることと言えばやはり市販の検査薬ではないでしょうか。
そこで陽性を確認したら産婦人科への受診という手順が一般的であると思われます。
それでは市販の検査薬はいつ頃行うのが適当なのか解説したいと思います。
まず妊娠すると女性の体内でhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)と呼ばれるホルモンが急激に分泌されはじめます。
妊娠検査薬は尿中に含まれているこのhCGを検出しその量が50mlU/ml以上であると陽性と判定されるようにできています。
この50mlU/mlを超えてくるのがだいたい妊娠4週頃と言われています。
そのため検査薬で陽性にでるのもそれくらいに時期となります。
これは生理が規則的である方であれば生理予定日の1週間以降で妊娠判定ができることになります。
しかし普段生理周期がまちまちで生理予定日自体っがいつなのかわからない方の場合はそのタイミングを図るのが難しいでしょう。
そのような場合は前回の生理開始日から1カ月半程度経過してから使用すると検査の精度もあがるようです。
最近では25mlU/mlのhCGを検出する高度な市販薬もあり、これを使用するとより早期の妊娠状態、だいたい約3週目くらいでの検出が可能なものもあるようです。
病院への受診時期について

産婦人科
産婦人科での妊娠の確認は超音波検査が有用とされています。
これで子宮の中に胎嚢と呼ばれる赤ちゃんを包む袋のようなものを確認することで正式に妊娠と確認します。
胎嚢は5週目くらいで確認できることが多いですが中には8週目くらいで確認できる方もいるためその場合にはまた次週の受診を主治医に指示されることが多いです。
まとめ

安産祈願
今回は生理周期と妊娠について解説しました。
自分自身の生理周期を知ることは自分のこれから起こりうる体調の変化や計画的な妊娠にも役立ちます。
また、妊娠した場合にはそれを早期に知る手段にもなります。
妊娠自体は病気ではありませんが身体はこれまでに経験にないくらいの変化をもたらします。
だからこそ妊娠していることもしくは妊娠しているかもしれないことを早く意識することで自分をいたわるようにしてあげることが大切です。
今回の内容が今後の皆様の日常にお役にたてれば幸いです。