妊娠したら、まず産婦人科に行くことになります。初めてかかるという人もいるでしょう。
妊娠した時点では、どんな出産をしたいのか具体的に考えたこともないという人がほとんどでしょう。
でも産婦人科によって、いろいろな特徴があります。知らずに受診して、そのまま出産…こんなはずじゃなかった!と後悔したくありませんよね。
また、人気の産婦人科は、出産予約がいっぱいになっていることがあり、早く準備したほうが良さそうです。
産婦人科は妊娠から、出産、そして産後まで長くお付き合いすることになります。
選び方にはいくつかポイントがあるので、自分に合う、産婦人科探しの参考にしてみてくださいね!
出産できる病院の種類

大きく分けて、3種類あります。それぞれ特徴がありますので、まずは見ていきましょう。
総合病院・大学病院
総合病院の中にある産婦人科です。
メリット
- 他科があり連携が取りやすい点や、医療設備が整っている
- もともと持病がある人やハイリスクの出産になることが予測される人などは、必要な医療が受けられる環境があり心強い
デメリット
- 病院の中にあるので、産科特有の温かい雰囲気はクリニック等に比べ、感じにくい
- 外来の待ち時間は予約制であっても、長いことが予測される
- 医師がたくさん在籍している場合は、担当医が変更する場合もある
- 出産後、産科と婦人科が混合している病棟に入院する場合、部屋の調整の兼ね合いから婦人科疾患の患者と同室になることがあり、気を使わなければいけないことも
- 教育施設になっている場合は、研修医や看護学生が勉強しにきているため、出産の見学や入院中に学生の受け持ち患者になることもある
高齢出産について
高齢出産だからといって、総合病院や周産期母子医療センター(※1)などの高次医療機関を選択しなければいけないわけではありません。
自分の体の健康リスクを把握した上で、医療施設を考慮しましょう。
自分の医学的条件に合っていることや、少し余裕を持たせておくと安心です。小規模な医療施設では、その病院での治療が限界と判断された場合、転院をせざるを得ないからです。
(※1)周産母子医療センター
産科と新生児科が併設されており、出産前後の時期に高度な医療が受けられる機関
個人病院・クリニック
診療科目が産科と婦人科のみになります。
入院ベッド数が20床以上ある場合は、病院。20床以下の場合、医院と名称を区別していますが、個人病院は総合病院より規模が小さいでしょう。
それぞれの病院でオリジナルの特色を強みにしているところが多くあります。
メリット
- 医師数が少ないので、初診から一貫して同じ医師に診てもらえることが多い
- 助産師やスタッフとも顔見知りになるので、気軽な相談などがしやすい
- 産科特有な雰囲気を感じられやすい
- 部屋が豪華であったり、入院中の食事がおいしい、エステが受けられるなどサービスが充実していることが多い
デメリット
- 何かトラブルが起こった場合、その病院で対応困難と判断されれば、転院する必要がある
- エステや豪華な食事などのサービスにより、支給される出産育児一時金42万円を大幅に超えることがある
助産院
助産師の資格を有する人が開業しています。
医師は不在で、助産師が赤ちゃんをとりあげてくれます。
メリット
- アットホームな雰囲気が強く、なるべく自然分娩をしたい妊婦さんに人気が強い
- 妊娠中から、生活上の指導や精神的なアドバイスなども受けられる
- 陣痛からずっと付き添ってみてもらえる
デメリット
- 母子ともに健康で正常な妊娠経過の人しか助産院では出産ができない
- 医療行為ができないので、必要時連携している病院に転院する必要がある
- 妊婦健診も基本は助産院で行い、採血など数回は連携先の病院に行く必要がある
その他
病院や医療施設で出産せず、自宅出産を選択する人もいます。
助産師が自宅に出向いてくれ、自分の家で出産するスタイルです。今では病院で出産することが当たり前のようになっていますが、一昔前はみんな自宅出産でしたね。
自己管理がとても重要であることや、家族の協力や一致団結が必要になりますが、自宅であることからリラックスして出産に望めたり、家族の絆が強くなるなど貴重な経験となるでしょう。
産婦人科を選ぶポイント
自分がどんな出産をしたいか、考えるバースプラン。
考えた事がなかったという人も、以下に9ポイントを挙げてみました。
いろいろなポイントを知って、まずは自分に合った条件を探してみましょう。
出産方法
出産方法はある程度、産院ごとに決まっています。
自分の希望に合う、出産方法をとっている病院を探すのもポイントです。
LDR
陣痛が始まってから、出産、回復まですべてを同じ部屋で行う方法。
無痛分娩
麻酔をして傷みを緩和させる方法。
無痛分娩ができる施設には限りがあるので、通える範囲内の病院で行っているかも重要。
水中出産
37度くらいのぬるめのお湯につかりながら出産する方法。
水中出産もできる施設にはまだまだ限りがあるのが現状。
アクティブバース
分娩台の上で出産するのではなく、妊婦さんが好きな姿勢や体位など、フリースタイルで出産する方法。
医療機器に管理されず、なるべく自然な形で妊婦と赤ちゃん主導によるスタイル。
助産院などで行っていることが多い。
ソフロロジー式分娩
妊娠中からイメージトレーニングを行い、出産を前向きにとらえる方法。
立会いの有無
家族の出産の立会いができるかどうかは、産院によって決められています。
帝王切開や緊急手術になる場合などは、立会いができないケースが多いでしょう。
また大学病院などは立会い出産不可としているところもあります。
個人クリニックでも、「パートナーや実母のみ」「子どもは不可」「撮影は不可」など、細かなルールがあるので事前確認が必要です。
母乳育児
母乳育児に力を入れている産院と、人工乳との混合もOKとしている産院があります。
母乳に関する考え方は、いろいろあるので自分に合ったところが一番ストレスなく良いですね。
また、産後の母乳に対する悩み相談ができる、母乳外来が併設されているかどうかも要チェックです。
母子同室・別室
産後の入院中に赤ちゃんと同室で過ごすか、授乳時など必要な時にママが赤ちゃんの部屋に行く別室スタイルがあります。
母子同室のメリットは、早く赤ちゃんのお世話に慣れること。
別室のメリットは、入院中にママがゆっくり休むことができ、体力の回復ができること。
これらも産院で方針が決められていることが多いようです。
筆者の経験では、1人目が看護師として勤めていた総合病院で産み、母子同室でした。2人目はクリニックで産み、別室で過ごしました。
個人的には、退院後の体力勝負に備えて、産後はゆっくり休める母子別室のほうがありがたかったです。
どちらにしろ、自分の体調に合わせて同室でも別室でも良いとしてくれる雰囲気がある方が重要ですね!
立地
体調が不安定であったり、どんどん身重になってくる妊婦期間は、立地や通いやすさも大切な条件になります。
また陣痛が始まったら、すぐに行ける距離であることも重要です。
目安としては、自宅から30分以内に車やタクシーで行けるかどうかです。混雑状況も把握できるので、事前にシュミレーションをしておくと安心でしょう。
仕事をしている場合は、平日夜の診療時間や土曜日も健診に行けるかなど、通いやすいかも視野に入れましょう。
また待ち時間短縮サービスなどの予約システムを導入している産院であるかもチェックです。
講習会の有無
妊娠中から産後まで、いろいろな講座を実施している産院が多くあります。
初産で出産・育児に不安がある人は、助産師などから指導がもらえたり、他のママとの交流の場にもなるのでおススメですよ!
講座は無料であったり、比較的定額に設定しているので経産婦の人も、気分転換に活用する人が多いようですね。
妊娠中
- 母親学級・両親学級
- マタニティヨガ
- 妊婦食事指導
- アロマセラピー
入院中・産後
- 沐浴指導
- 授乳・調乳指導
- 育児指導
- ベビーマッサージ
- 骨盤ケア
- 離乳食指導
- 産後ヨガ
キッズスペースの有無
上に子どもがいる場合、妊婦健診中など保育士付きキッズスペースがあると大変助かります。
また、入院中も里帰りをしない場合など、上の子も一緒に入院させてもらえる産院もあります。入院中にキッズスペースで子どもは遊べ、ママは部屋で休むこともでき便利です。
入院中のサービス
安全な出産を重視した、総合病院などではシンプルな入院期間を過ごせます。
反対にクリニックなどの産院では、豪華な祝い膳などホテル並みの食事や、エステやマッサージが受けられることも。
筆者の入院したクリニックは、上記に加え、退院前に花束や今治産タオルでできた赤ちゃん用のバスタオルケープやオムツ入れなどのグッズまでもらえました。
うっかり出産したことや入院していることも忘れるほど楽しい入院期間を過ごせましたよ。
入院費用
入院費用は、上述した入院中のサービスの多さに比例します。
出産育児一時金の42万円を超えた額を自己負担することになります。どのレベルが自分にとって負担なく心地よいのか検討しておくと良いでしょう。
雰囲気
医師や受付スタッフ、助産師や看護師の対応もポイントです。
しばらくお世話になる産院なので、些細な事でも聞きやすい雰囲気があるかどうか、リラックスできる雰囲気があるか、実際自分の目で見て確認することが重要です。
講習会などに参加することで、スタッフの雰囲気なども知ることができますよ。
出産できない病院を受診した場合

妊娠の診断を受けたものの、妊婦健診は行えても、出産には対応していないという病院があります。
出産まで対応している病院であるか、確認をしましょう。
産婦人科は、産科と婦人科の2つの診療科を合わせた名称です。
産科は妊娠から産後まで診てもらえる科、婦人科は女性特有の疾患や生理不順、性病、不妊治療などを取り扱う科になります。
病院によって、産科に比重が置いてあるところや、反対に婦人科に比重が置かれているところがあります。どちらに比重が置かれた病院であるかも確認したほうが良いでしょう。
また不妊治療後に妊娠した場合は、治療をした病院にまずは受診しましょう。
受診する産科を紹介してくれたり、不妊治療の経過を紹介状に記載してもらうためです。
里帰り出産を選択する場合

特に初産の場合、実家が遠方であれば、里帰り出産を希望する人も多いでしょう。
自分の生まれ育った実家であれば、精神的にも肉体的にも楽で安心できますよね。
産後の回復は、ママがいかに心身ともに休める環境にあるかが重要になっていきます。
ぜひ、頼れる甘えられる里帰り出産ができる人は、上手に活用しましょう。
里帰り出産にもいくつかポイントがあります。見ていきましょう!
里帰り出産の手順
- 妊娠がわかった時点で、里帰り出産をするか決める
- 健診のために受診する、自宅から通う病院を選ぶ
- 2と同時に、里帰り出産をする、帰省先の病院を選ぶ
- 健診のための病院には、里帰り出産することを事前に報告しておき、帰省する前に紹介状を書いてもらう
- 里帰り出産をする病院には、決めた時点ですぐに分娩予約がとれるか確認をする ※ 病院によっては、事前に健診を受けるよう指示があります。
- 遅くとも妊娠9ヶ月の後半頃までには里帰りをして、健診を受ける
里帰り出産をする病院の選び方
里帰り出産の病院の選び方は、上述した「産婦人科を選ぶポイント」と基本は同じです。
通える範囲内で、自分のバースプランにより合った病院を選びましょう。
ただ、人気なところなどは予約が取りづらいので、早めに連絡はしましょうね。
また里帰りの場合は、陣痛が始まって病院に向かう手段がパートナーの運転ではないことが多いので、誰に連れていってもらうのか、移動手段は何になるのか確認をしましょう。
陣痛タクシーなどの登録ができる地域であれば、事前にしておくと安心ですね。
実家の親が年配になってきている場合などは、実際に入院中、親が病院に来られる場所であるのかも視野に入れて、病院探しをしましょう。
健診の助成について
里帰り先での健診費用の助成は、一旦自己負担で支払い後、戻ってくるシステムをとっている自治体が多いようです。
まずは自分の住んでいる自治体に手順を確認しておくと安心でしょう。
パパへの配慮も忘れずに
里帰りはママにとっては、メリットが多いようにみえますが、パパにとっては孤独を感じたり、赤ちゃんとの生活が具体的に想像できなかったりとデメリットになる場合もあります。
いずれは、自宅に戻りパートナーと子どもとの生活が始まります。
パパとママの気持ちのズレが生じないように、里帰り中からこまめに連絡を取り合うなどして上手に乗り越えたいものですね。
具体的には、赤ちゃんの様子を報告したり、ママの気持ちを素直に話したり、パパへの感謝の気持ちも忘れずに伝えておくなど、パパへの気遣いも大事です。
産婦人科選びの注意点
出産難民にならないように
何度か上述していますが、出産する病院は早めにリサーチして、分娩予約を取りましょう。
いざ分娩予約を取る時にはすでに予約がいっぱい!という事態にならないように、妊娠と診断され、予定日がわかる頃には決めましょうね。
自分に見合ったお金、サービス
入院費用は、出産育児一時金の42万円を差し引いた金額が自己負担分になります。
サービスが充実していればいるほど、入院費用は高くなります。
どの程度が自分に合っているのか、検討することも大切になります。
出産育児一時金の直接支払い制度
これは健保組合が、直接出産した病院に支払いをしてくれる制度です。
直接支払い制度に対応している病院であるのか事前に確認しましょう。
対応している場合は、退院時に差額分のみを支払いすればOKということになります。
緊急時の対応の確認

妊娠・出産は、母子の命にかかわる緊急事態が起こりうるものです。
もちろんないに越したことはありませんが、万が一のことは事前に頭に入れておきましょう。
総合病院など、高度な医療設備が整っている医療機関で出産予定の人は、そのまま病院で治療が受けられるので、スムーズな処置が受けられます。
個人病院やクリニックなどでは、場合によっては転院になることがあります。
緊急時は、ママ本人以外の家族への連絡をとる前に搬送となることがあり、最近は事前にその旨を説明、同意書にサインすることがあります。
緊急時の転院先はどこになるのか、家族で事前に把握しておきましょうね。
転院を考えたら
いざ健診を受けてみて、相性が悪いと感じたり、セカンドオピニオンを受けたいなど、他の病院を検討する場合はその時点で早めに申し出ましょう。
直接医師に伝えにくいと感じるでのあれば、受付や助産師などに話してみるのもおススメです。
転院先には紹介状を持参する必要があります。今ままでの経過や検査結果が記載されるので、新たに検査をし直すことがありません。
まとめ
産婦人科の選び方について、ポイントとする内容をお伝えしました。
ママ自身が何を重要視するかで選ぶ産院が決まります。
ぜひ、自分のバースプランをこの機会に考えてみてはいかがでしょうか?
筆者の経験では、自分に合った、産婦人科で出産することはとても重要だと実感しています。
それは良い出産は、産後の精神状態にも影響し、産後の回復にも違いが出ることを経験したからです。
自分に合った産院が見つかり、良い出産をみなさんが経験できますように!